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馬券の買い方にはフォームがある YouTuberがガチで予想し的中したアンタレスS(クロサキ)

  • 2024年05月05日(日) 18時00分
予想の頭脳

アンタレスSで+7万の払い戻し


『ウマい馬券』で活躍するプロ予想家たちが、会心の的中を振り返る「予想の頭脳」。今回取りあげるのは、アンタレスSを的中させた「クロサキ」氏。波乱となった一戦を、どのようなアプローチで攻略したのか……。本人自ら綴っていただきました!

対象レース:2024年4月14日(日)阪神11R アンタレスS

 おはようございました。競馬YouTuberのクロサキでございます。

予想の頭脳

「クロサキ」氏


 こちらの「予想の頭脳」というコラムの執筆は僕の上半期の目標の一つでした。お声かけいただいたことが大変嬉しく、現在スキップしながら文章を打ち込んでいます。タイプミスが止まりません。

 僕は毎週個人チャンネルで「馬券のツボ」というコーナーを配信しています。というのも今年は、僕にぴったりの必殺馬券術とお嫁さんを見つけることが自身に課した目標だからです。

 前提として僕は予想家と呼ばれることを徹底的に忌避しています。あくまでYouTuberであり、予想を生業としていないからです。自分の予想をウマいと思ったことは両手両足の指で数えられるほどしかありません。

 発信を続ける中で、ちょうど1年ほど前にお声がけいただきウマい馬券に参加させていただくことになりました。正直に申し上げますと、昨年度はウマい馬券に対して火星の地表温度くらい関心がありませんでした。「あくまで頼まれたから入稿している」という受け身な態度だったことが昨年のことのように思い出されます。昨年のことでした。

 ただそんな言い訳がましい自分の態度はいささか子供すぎると、真摯に向き合うべきじゃないかと心の中のリトルクロサキに諭されて馬券術を磨き始めました。YouTuberがガチで予想してプロ予想家に勝ったらカッコいいじゃないか。負けたって当たり前なんだから全力で取り組もう。同い年の大谷翔平にこれ以上水をあけられないよう努力することを誓いました。

 ここに今現在、馬券について考え始めて半年の僕の思考を置いていきます(まだ決して完成ではない)。

 前置きが長くなりましたがこれはいつものことなので気にしないでください。

 今回のメニューはこちら
・アンタレスS出走馬の取捨
・印の打ち方
・現在の馬券フォーム
・あとがき
ここから本編に入っていく。

・アンタレスS出走馬の取捨
 とりあえずそれっぽい見出しをつけてみたが、出走馬は数が多いし、僕の中で今回記したい大事なポイント(主題)は各馬の能力比較ではないので詳細な分析は省く。

1人気ハギノアレグリアス
 チャンピオンズCでは本命にしたが外を回して敗戦。前走はやや距離が長い中で3着なら情状酌量の余地あり。今回は適距離で能力は上だが斤量と最内枠が懸念。人気も加味して本命にはしないが切る要素もなく相手筆頭候補。

2人気ヴィクティファルス
 ダートでまだ2戦、前残りに恵まれた中での3着だった東海Sを見ても半信半疑で過剰人気にも見える。重い印は打てず。結果的になんとなく印を回したのが失敗(後述)。ハッキリとした買い理由を提示できない人気馬を絡めて買うべきでない。

3人気スレイマン
 前走の内容は冬の小倉にしては優秀な内容。 それまでもキングズソードやワールドタキオンなど重賞級のメンバーと走っていたことから能力は通用する。まだ人気しきらないタイミングで本命候補。

4人気テーオードレフォン
 前走名古屋城Sは本命。単勝オッズ10.6倍で1着、馬券的にも大きく儲けさせてもらった。こちらも同じ構造の馬券なので参照されたい。

 当時はテーオーリカードと2頭のコンビプレー(元中日の荒木井端に匹敵するコンビネーションだった)が炸裂しての逃げ切り。そこまで読んでの本命だったため、今回1頭での出走でそこまで恵まれるとは思えない。井端1人じゃ二遊間は守りきれない。

 ここが最も大事なポイントだが「前回美味しいオッズで馬券になった本命は次走まで追わない」ということだ。半紙にでも清書してトイレの壁に貼っておくといい。ちなみに僕の実家のトイレには福沢諭吉先生作(と言われている)心訓七則が貼ってあり暗唱できるほど読み込んだものだ。

 もちろん例外はある(同程度の好走率は見込めるのに前走よりオッズが甘いetc.)が基本的には前回拾えている身からすれば「人気したタイミングで買う人は哀れだなぁ」程度に思っておけばいい。

5人気ミッキーヌチバナ
 予想文に書いてあることをリピートしても仕方ないのでこの馬の詳細は省く。5強オッズが形成されていた中で上記から買いたい馬は2頭。ミッキーヌチバナ含めて好走率は変わらないと見た中で最も人気がなかった彼を本命にするのにそんなに理由はいらない。買いたい馬の中で最も人気がない馬を選んだだけだ。

・印の打ち方
 競馬には◎○▲といった印が存在する。各出走馬に対しての個人的評価を記号化したもので、これは日本特有の文化と思われる。発祥は1924年の「中島高級競馬號」だったはずなので今年は印生誕100周年記念である。センテニアルである。

 地方によって若干異なるし(関東圏では◎→○→▲→△/関西圏では◎→○→▲→△→× etc.)個人によっても評価順は異なるように思う。

 それくらい曖昧なもので、家庭のカレーのレシピのように自分だけわかれば問題はないものなのだが、そこに真摯に向き合っているだろうか。印に意味を付与させることができるのはあなただけなのだ。

◎本命
 馬券の軸。ここに関しては正直あまり迷うことがない。「次買いたい」と思っていた馬の中で人気のない方から選ぶことが多い。迷ったら困難な道を選んだ方が豊かになるのは人生と同じだ。

○対抗
▲単穴
 僕はここの選定に心血を注ぐ。皆さん本命を選ぶことに精一杯で、ここが曖昧になっていないだろうか? 単複勝負や、そもそも広く流す方には関係ないかもしれないが、この後触れる馬券術においても最重要事項となってくるのがこの2頭だ。本命が好走して、更にこの「2頭のうちどちらかが走れば勝負に勝てる」という状況を作り出すのだ。

 印は異なるが、基本的に2頭の扱いは同率であることが多い。必要に迫られた場合には○を上に取るくらい。◎がやや穴っぽい時にはこの○▲の2頭は人気サイドであることが多い。

 例外を除いて、馬券内には3頭存在するので本命とあと2頭を全力で狙いに行く。言ってしまえば印なんて本当は3点で十分なのだ。

 印の付け方は人それぞれでいいと思うし、意味付けもそれぞれだ。僕は人の家のカレーの味にケチをつけたりはしない。家庭によってこだわりがあるんだろうからね。具材がヤングコーンだけだったとしても、見た目も味もクリームシチューだったとしても口は出さない。そこにこだわりがある限り。

 本当にこれがベストだと思える方法で印をつけているだろうか。なんとなくのレシピでカレーを作っていないだろうか。一度胸に手を当てて考えてみてほしい。

 いや、やっぱりクリームシチューをカレーと偽って提供されたら「大変恐縮ですが、これは流石にクリームシチューですよ」と指摘してしまうかもしれない。

・現在の馬券フォーム
 ここが今回の白眉である。アンタレスSにおいてミッキーヌチバナに本命を打つことは難しいことでは決してない。僕の推測ではミッキーヌチバナに本命を打った人は島根県の全人口と同じくらいはいたはずだ。もう少し多いかもしれない。それでも払い戻しに差がつくのは(相手選びを除けば)買い方に他ならない。

 馬券の買い方にはフォームがあると思う。野球のスイングにフォームがあるように。大谷翔平が打席に入るたびに右だったり左だったり、はたまた小刻みにお尻を振りながら構えたりしないだろう。毎回寸分違わぬ綺麗なフォームだ。馬券の買い方も基本的なフォームを自分なりに見つけていくことで打率が上がる。ここでは僕の現状の馬券フォームを紹介する。

 その前に「なんでもかんでも野球で例えるおじさんは昭和の遺物みたいで嫌だな」と思っていた少年時代の僕に謝りたい。人間は歳を重ねると野球の比喩が増える生物なんだよ。

【優先順位】
 僕は単勝→馬連ワイド→3連系の順番で馬券を組み立てていく。

 当たる確率の高いものから土台を設置してその上に不安定なものを積んでいくイメージを持ってもらうといい。組体操のピラミッドで、あだ名が「マッチ棒」でお馴染みのクラスで1番ヒョロヒョロな子を1番下に任命することはあり得ないだろう。基本的には甘やかされすぎて不必要にこの世界に対して占有面積が大きくなってしまった幸せな子を土台にするはずだ。その方が安定するし、戒めにもなる。

【単勝】
 本命が勝って、馬券を外すことほど惨めなことはない。『心訓七則』の一節にも「世の中で一番みじめなことは、本命が勝利して払い戻しのないことである」とあった気がする。

 今回でいえばミッキーヌチバナの単勝は8.9倍で、1万円予算のうち10%強を配分するだけでプラスになる。単勝妙味によって配分は変えるが、大体単勝だけで150%前後は目指すことが多い。今回は1/5を配分して、これだけで180%となっている。大事なことは「本命が1着ならプラスになること」だ。ちなみに本命の単勝オッズが3.5倍を切る時にはほぼ買わない。

 僕の予想をありがたいことに参考にしてくださる方の中には「◎は1着に走ってくれましたが相手がいなくて…泣」みたいな戯言を仰る方が一定数いらっしゃる。泣いてる場合じゃない。ただの自業自得だ。

 16頭立てのレースの場合、単勝は16通りしかない。単純計算で1/16で当たるのだからとりあえず買っておこう。

【馬連・ワイド】
 馬連は単勝が外れた時の保険だ。そしてワイドは馬連の保険だ。そして全部当たる可能性がある。

 ◎-○▲の2点を買うのが僕の基本フォームだが、馬連2点のうち1点は無駄になるがワイド2点はダブルの可能性がある。本命対抗単穴が同時に走れば単勝、馬連1点、ワイド2点が的中できる。ちなみに今回はミッキーヌチバナ-ハギノアレグリアスのワイドは配当の観点から買っていない。

 単勝とミッキーヌチバナ-スレイマンの馬連ワイドで回収率は500%弱程度に到達しており、十分と言える戦果だ。本命と○▲のどちらかが一緒に好走すれば400%を目指せるように組むのが馬券の中心部だ。大体ここまでで予算の6-7割程度を割くことが多い。

【3連複・3連単】
 おまけである。◎と○▲が好走した上で更にもう一頭穴っぽいところが来た場合に跳ねる飛び道具である。これも馬連の保険といえば保険だ。

 そして自称「馬券が当たらない」人はなぜか3連複を土台に据えていることが多い。16頭立てのレースの場合、3連複の組み合わせは全560通りだ。「馬券が下手」と言いながら1/560を当てに行こうとする。それは当たらないはずだ。あだ名が「マッチ棒」でお馴染みのクラスで1番ヒョロヒョロな子を1番下に据えたピラミッドは崩れるだろう。崩れるどころか建立されることがない。

 あくまで「来たらボーナス」程度でもいいのではないか。というのが僕の今の考えだ。今回は普段あまり買わない3連単も◎-○▲の2通りだけ購入した。予算の2%、200円が2万円になるのだからローリスクハイリターン案件。

 ここで一つ反省をしておきたいのが、△ヴィクティファルスは要らなかったのではないかという問題だ。できる限り人気馬に△を打たないように意識をしている。なぜなら「一応きたら怖いから人気馬に△を打つ」という行為は期待値を下げることに繋がりかねないからだ。打つなら穴馬にすべき。

 好走する根拠に乏しい人気馬は切るか、馬券的には無視する(来ても問題ないようにワイドを厚くする等)といった対応策が必要だ。この弱気な印がなければ、◎○▲の3頭の3連複を厚く買ったり土台の単勝や馬連に配分したりして払い戻しは10万を超えていただろう。

 まだ馬券のフォームは安定したとは言い難い。もっと素振りをして、より練度を高めたフォームをまたどこかで披露したい。

・あとがき
 僕が大学時代にバイトをしていた地元の居酒屋に一個下のみーちゃんという女の子がいた。どちらかといえばギャルだ。

 みーちゃんはバイト中によく皿を割った。1日に複数枚割ることも日常茶飯事だった。そしてその日1枚目の皿が割れると「あー、また始まったよ!」と何かに怒っていた。自然災害や公害のように自分が何かに巻き込まれているように感じていたのかもしれない。

 みーちゃんはよく歯を無くした。転びやすくて歯が欠けてしまうため差し歯をしていたのだが(僕は今まで転んで歯を無くした女の子を他に見たことがない)大事な差し歯をよく無くした。地元の祭りの後に法被を着て差し歯を探して地面を這いつくばる姿を今でも鮮明に覚えている。

 みーちゃんは叩いてかぶってジャンケンポンのルールを理解せず、ジャンケンに勝ったら棒で相手を叩き、負けたらヘルメットで相手を叩いていた。注意しても、次はまたヘルメットを鈍器として使用した。

「失敗から何も学ばない」という典型的な成長しない人間だ。なぜ皿を割ってしまうのか、なぜ差し歯を無くしてしまうのか、なぜ頭を守るための道具で人を殴打するのか。そういった実際的なことは考えない。当時は面白い子だなと思って笑っていたが、果たして僕たちにみーちゃんを笑う資格はあるだろうか。

「予想が当たらない」「予想が当たっても馬券が当たらない」そんな事態を改善しようと頭を使っているだろうか。外れることを当たり前のこととして受け入れていないだろうか。

 僕もそんな時期が長かった。強がりではなく、勝つために競馬をやっているわけではなかった。生まれつき競馬をやる家族に囲まれて当たり前のようにやっていた。予想をするのが楽しければいいと思っていたし、3連複を中心にフォーメーションを組んで外れ続ける日々に疑問を抱いていなかった。

 20代のうちに、意識改革をしなければいけないと思い立ったのが半年前。僕もまだまだまだまだ勉強中だ。こんな偉そうに書き連ねてきた馬券フォームも半年後には、いやこの記事が出る頃には一変している可能性すらある。

 ちなににみーちゃんは専門を卒業した後、海外留学をして帰国後に起業したと伝え聞いている。あのみーちゃんでも変われるのだ(変わったかどうかは実際には定かではないが)。あなたも一緒に意識改革していこう。

 いかがでしたでしょうか。

 おそらくこんなに長い文章は誰も読んでないし、求められてはいないと思いますが、書き始めると楽しくて筆が止まらなくなってしまいました。そろそろスキップするのが疲れてきたので今回はここまでにしたいと思います。納得いかない部分がありましたら、きっとそれはタイプミスですのでお気になさらず。

(クロサキ)


今回解説の予想結果はこちら


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なぜあの馬に印を打てたのか。会心の勝利を収めたプロ予想家が、自身の的中を元にレースを振り返る予想力向上コラム。 関連サイト:ウマい馬券

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