豪州のサラブレッドマーケティング団体であるオスホース(Aushorse)が、オーストラリアのサラブレッド産業を世界中に発信。
今回は、日本でも活躍が目立つオーストラリア血統を亀谷敬正氏がご紹介します。
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日本にマッチする繁殖牝馬を日本よりも安価で発掘できる
ここ数年、JRAの芝の路盤が進化したことと、種牡馬のトレンドが変わってきたことにより、オセアニア血統の繁殖牝馬の活躍が以前よりも目立つようになりました。このトレンドは予想通り。ますます加熱中です。
オーストラリア繁殖が重要であることは、年明けのイングリス(オーストラリア最大手のセリ会社)のホームページにも寄稿しました。
その後に行われた皐月賞を勝ったジャスティンミラノは母父がエクシードアンドエクセル。オーストラリア生産馬で現役時代はオーストラリアの最優秀スプリンターに選出。産駒も次々とオーストラリアのビッグレースを勝ち、オーストラリアの最高峰2歳G1ゴールデンスリッパーSの勝ち馬も出しました。皐月賞2着のコスモキュランダの母もオセアニアから輸入された繁殖牝馬です。
牝馬三冠を達成したリバティアイランドの母もオーストラリアの生産馬。母ヤンキーローズはゴールデンスリッパーSで2着。オーストラリア最優秀3歳牝馬にも選出。引退後はノーザンファームに(おそらく)高額でトレードされて日本に来たわけですが、お金の面でも夢があるのはヤンキーローズはイングリスのクラシック1歳馬セールで1万オーストラリアドル(日本円で約90万円ほど)の超激安価格で購買されたこと。オーストラリアは、今の日本の配合トレンドにマッチしやすい牝馬を安く購入できるチャンスに溢れているのです。
今年のJRA2歳馬で新馬、野路菊Sを連勝したクラシックの有力候補エリキングも母はオーストラリア生産のヤングスター。同馬も1歳時のセールでは20万オーストラリアドルで購買されました。引退後は繁殖セールに出されてノーザンファームが140万オーストラリアドルで購買。さらにエリキングはセレクトセールで2億3100万円で購買されたわけですから、まさにわらしべ長者。大万馬券の的中どころではない驚くべき回収率、回収額です。
同じくノーザンファームが繁殖牝馬として購買したモシーンも1歳馬セールでは25万オーストラリアドルで購買された馬。モシーンの仔はプリモシーンが重賞を勝ちましたが、それ以上に繁殖牝馬としての経済効果はすさまじく、同馬の仔ダノンエアズロックはセレクトセールで4億9500万、コジオスコも3億3000万円の値が付いた。25万オーストラリアドルで買われた牝馬が繁殖牝馬としては、自身がセリで購買された額の40倍以上の価格の仔達を生み出しています。
オーストラリアのセールは、日本にマッチする繁殖牝馬を日本よりも安価で発掘できるケースが多いだけではありません。日本のGIレースよりも高額賞金のレースの勝ち馬をリーズナブルに購買されたケースはいくらでもあります。
昨年オオバンブルマイが勝ったゴールデンイーグルの1着賞金は525万オーストラリアドル(5億円以上)。
今年もその賞金を目指して日本からアスコリピチェーノ、コラソンビートが参戦予定。(なおアスコリピチェーノは「亀谷競馬サロン」メンバーが出資、遠征サポート、育成者も携わっています)
さらに、オーストラリアにはジ・エベレストというゴールデンイーグルを上回る超高額賞金レースもあり、その1着賞金は754万オーストラリアドル!!(7億円以上)
ジ・エベレストも、毎年のようにセールではリーズナブルだった馬が続々と勝っています。
昨年の優勝馬シンクアバウトイットは1歳セールにて7万オーストラリアドル(約650万円程度)で購買された馬。現役時代には約1,200万オーストラリアドル(10億円以上!!)を稼ぎました。
22年のジ・エベレスト勝ち馬ギガキックも平均3万オーストラリアドルのセールに上場予定も欠場だった馬ですから、かなりの安価で購買されたはず。
21年の勝ち馬は世界最強とも言われたネイチャーストリップ。約2,000万オーストラリアドル(約20億円!!)近くを稼ぎました。同馬も1歳馬セールでは12万ドルで買い手がつかず主取りとなった馬。
馬券ゲームでは期待値が高い大穴馬券は、能力が拮抗していることと、才能を秘めた馬が甘いオッズ(低い支持率)で売られていることによって発生しますが、オーストラリアの競走馬セールも同じく大穴連発。能力が拮抗していて、才能を秘めた馬が甘いオッズで売られているケースに溢れています。大穴連発で期待値が高い魅力的な市場ですね。