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【宝塚記念予想】牝馬三強で順当に決まるようなレースではない!

  • 2021年06月20日(日) 18時00分

■宝塚記念(GI・阪神芝2200m内)フルゲート18頭/登録15頭


★3行でわかる! 宝塚記念 攻略の糸口

1.波乱傾向が強いコース&レース。人気でも穴でも5歳馬◎
2.今年は2週目も枠番は外のほうが好成績前走人気馬○
3.阪神替わりで台頭する、前走上がり「ソコソコ」の馬を狙え!

データ特注推奨馬
 ★アリストテレス
 ★カレンブーケドール


 上半期の総決算・グランプリ宝塚記念。この時期の暑さを嫌って一流馬が出走を避ける傾向にあるのは残念だが、それもあって馬券的には毎年かなり面白いレースとなっている。少頭数となる年もけっこうあるが、それを感じさせない波乱傾向の強さ。器用さや機動力が要求される阪神の内回りコースや、梅雨時で時計のかかる馬場になりやすいことなどから、春GIの活躍馬がコロッと負けることが少なくない。

 今年は例年とは違って阪神2週目の開催となるので、例年とはいささか傾向が異なる結果になるかもしれない。外枠のほうがハッキリと強いレースだったりするのだが、このあたりについては、前日土曜日の競馬で馬場バイアスを確認しておく必要がある。とはいえ、5歳馬が強いことや、前走での着順ではなく「人気」のほうがアテになるといったレース傾向は、大きく変わらないはず。今年も、7〜12番人気の激走を警戒したい。

 当欄で掲載しているのは、前走での上がり3F順位別での成績である。一気に馬場が重くなり、さらに直線の短い内回りコースとなるのもあって、宝塚記念では「前走で最速クラスの上がりを使っていた馬」が成績不振。それとは対照的に、前走での上がりが3〜5位という「ソコソコ速い上がりを使っていた馬」が、ここで台頭してくる傾向にある。高速馬場でキレ負けしていた馬が、阪神替わりで逆襲してくるというわけだ。

 このパターンに合致するのが、天皇賞(春)で4着に終わったアリストテレス。その他の買い材料もけっこう多いので、人気を一気に落としたここは、かなりの狙い目となりそうだ。あとはカレンブーケドールも、積極的に狙っていきたいところ。勝てるかどうかはともかく、上位に食い込んでくる可能性は高いはずだ。

【コース総論】阪神芝2200m内 Bコース使用

※今回は阪神芝2000m〜2200m内を集計対象としています

・コースの要所!

★人気サイドの信頼度は高いが人気薄の激走例も多い。中穴ゾーンがイマイチ。
★馬番01〜04番の内容が優秀も、極端に大きな差はない。外枠でも力は出せる。
★内回りで先行勢が優勢も、瞬発力の要求レベルは非常に高い。決め脚が必須。





 先週のマーメイドSでも扱っている、阪神芝中距離の内回りコース。宝塚記念では距離が200m延長されるが、正面スタンド前のスタート地点が4コーナー出口のほうにズレることになる。最初のコーナー進入までの距離が延びるので先行争いの激化は少ないが、下り坂スタートで直後に急坂という形態や、器用さと機動力が要求されることなど、クセはなかなか強い。総合力が問われるコースといえるだろう。

 展開的な紛れも起こりやすいようで、ここは人気薄の激走が目立つ。3番人気以内馬など、人気サイドも悪くない結果を残しているのだが、7〜9番人気の6.7%という高い勝率や、10〜12番人気がマークした10.9%という複勝率の高さなど、穴馬の内容が本当にいいのだ。さすがに13番人気以下になると信頼度はガクッと落ちるが、12番人気までであれば、積極的に狙う価値アリ。しかもヒモではなく、アタマで狙える。

 枠番の内外による有利・不利はあまりない様子。内枠である馬番01〜04番の内容が優秀で、コース形態からも内のほうがよさそうなイメージではあるのだが、単純に内外を比較したデータにおいては、外のほうが信頼度が高かったりする。最初のコーナー進入まで十分に距離もあるので、芝2200mの場合はなおさら、外枠でも問題はないはず。枠番よりも、その週の馬場バイアスを重視すべきだろう。

 最後に脚質面だが、「先行勢が優勢でありながら瞬発力の要求レベルが高い」というのが特徴。最速上がりをマークした馬は、トータル[7-7-1-5]で連対率70.0%という、驚異的な結果を残している。つまり、ある程度は前のほうのポジションを確保しつつ、そこから速い上がりを繰り出す必要があるということ。となれば問われてくるのは、最後までスタミナを温存できる折り合いのよさか。

【レース総論】宝塚記念(GI) 阪神過去10回

・レースの要所!

★波乱傾向が強めのレースで穴馬の激走率が非常に高い。牝馬の強さも目立つ。
★脚質面はコースデータ通りの傾向だが、枠番は外のほうが好成績。4〜5歳◎。
★前走での人気が今回の結果に直結。前走3番人気以内馬でチョイ負けがベスト。
★人気薄で走っているのは関西馬&関西所属騎手。GIらしく継続騎乗組が強い。










 レースの平均配当は、単勝933円、馬連5098円、3連複3万8468円と高水準。それなりに堅く決まった年もあるが、いわゆる「波乱」の決着のほうが格段に多いレースだ。昨年も2番人気のクロノジェネシスが圧勝し、2着は6番人気のキセキだったが、3着には12番人気と低評価だったモズベッロが激走。1番人気サートゥルナーリアが4着に敗れたのもあり、3連単は18万馬券となっている。

 波乱傾向が強いレースであるのは、人気別成績からも見てとれる。人気サイドの信頼度は並以下で、内容がいいのは7〜9番人気や10〜12番人気など、人気薄ばかり。しかも、宝塚記念はフルゲートとなることが少なく、この結果には「12頭立て以下」で行われた4年分のデータが含まれている。それでいてこの結果なのだから、今年も堅く決まるとは考えないほうがいい。問題は「どの程度荒れるか」だろう。

 枠番は意外なほどに「外」が強い。これはおそらく、梅雨時で馬場が荒れやすいというのも影響していると思われる。例年とは違って2週目に開催されるので、今年はそれほど馬場にダメージが残っていないかもしれないが、開幕週は重〜不良での開催となりそうで、一気に馬場悪化が進む可能性もある。枠番の内外はそれほど気にする必要ナシだが、どういった馬場バイアスになるかは、土曜日のうちにしっかり見定めたい。

 脚質面は「先行勢が強いが瞬発力の要求レベルは非常に高い」という、コースデータ通りの結果。最速上がりをマークした馬は[6-5-0-0]と、そのすべてが連対している。最後の直線が短いので、ある程度は前のほうのポジションを確保する必要があり、そこからトップクラスの上がりを繰り出さねば勝ち負けにならないのだから、ハードルはかなり高い。天候によっては、道悪の巧拙もかなり問われてきそうだ。

 年齢別でもっとも優秀な結果を残しているのは5歳馬。複勝率29.4%と高信頼度で、回収値もバツグンに高いのだから、ここを狙わない手はない。昨年は残念ながら1頭も馬券に絡まなかったが、一昨年は5歳馬が上位を独占している。次いで4歳馬、6歳馬という評価の序列で、7歳以上になると信頼度は大幅にダウン。高齢馬については、評価をかなり割り引く必要がありそうだ。

 あとは、前走での「人気」が宝塚記念の結果に直結しているのも、ぜひ覚えておきたい攻略ポイント。かなり波乱傾向が強いレースでありながら、前走で上位人気に推されていた馬は、高確率で馬券に絡んでいる。前走での着順よりも、人気のほうがはるかにアテになるレースなのだ。なかでも注目したいのが「前走3番人気以内で2〜5着だった馬」で複勝率45.0%、単勝適正回収値117.9、複勝回収値128と、素晴らしい結果を残している。

 前走距離別成績からは、前走で芝マイル戦に出走していた組が要チェック。出走数自体はかなり少ないのだが、複勝率33.3%、複勝回収値238と、爆発力はかなりのものだ。この組が7〜12番人気になった場合は、ヒモで押さえておくのをオススメする。また、人気薄で好走した馬が「関西」に偏っているのも、宝塚記念の特徴。厩舎だけでなく騎手についても、ハッキリと「関西>関東」という結果が出ている。

 最後に騎手関連データだが、上半期を締めくくるグランプリらしく、前走から鞍上が継続騎乗する馬のほうが好成績。乗り替わり組が買えないわけではないが、信頼度が低く回収値も低空飛行となると、手を出しづらい面がある。そして、クロノジェネシスに騎乗予定のC.ルメール騎手が人気でコケまくっているのも、気がかりなポイント。毎年のように1〜2番人気に騎乗していながら、すべて4着以下に終わっている。

【血統総論】



 血統面からは、ディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒、ルーラーシップ産駒、バゴ産駒、タニノギムレット産駒をプラス評価の対象とした。バゴ産駒は出走数こそ少ないが、クロノジェネシス以外の産駒もコンスタントに走っており、非常に高い回収値をマーク。ギャップ値も大幅プラスで、コース適性の高さは文句なしだ。意外なところでは、ミスマンマミーアの父であるタニノギムレットも、好相性だったりする。

★特別登録馬 総論×各論

 古馬の「大将格」であるクロノジェネシスから、もはや愛されキャラと化してきているヨシオまで、じつに多彩なラインナップとなった今年の登録馬。ある意味、宝塚記念らしいメンバー構成といえなくもない。無敗で大阪杯までも制したレイパパレや、安定感バツグンのカレンブーケドールなど、トップクラス牝馬が人気を集める一戦となりそう。上半期の締めくくりにふさわしい、激闘を期待したいところだ。

 しかし、現時点でのトップ評価は牡馬のアリストテレス。データ特注推奨馬にあげているように、ここは買い材料が非常に多い。阪神大賞典、天皇賞(春)と期待に応えられないレースが続いているが、距離が長かったというのも背景にありそう。距離短縮のここで、一気に巻き返してくる可能性は十分にある。乗り替わる予定の武豊ジョッキーが、この馬でどのような手綱さばきを見せるのか、注目したい。

 二番手評価にカレンブーケドール。今シーズンも相変わらずの「善戦ウーマン」ぶりを発揮しているが、コースや距離を問わず、しかもトップクラスを相手にこれだけ崩れないというのは、じつは凄いこと。前走の天皇賞(春)でも3着に敗れたが、勝ちにいく競馬をしての結果だけに、致し方ない。阪神の内回りに向く器用さもあり、じつはコース適性がメチャクチャ高い可能性アリ。ここは、GIタイトル奪取の正念場だ。

 三番手評価にクロノジェネシス。ドバイ遠征以来のレースとなるが、ぶっつけ本番自体は慣れたもの。昨年のこのレースで見せた驚異的な強さは、まだ記憶にも新しい。少し時計のかかる馬場だと無類の強さを発揮するタイプで、道悪も苦にしないのは大きな強み。ただし、C.ルメール騎手がこのレースとの相性が悪いのは、やはり少し気がかりだ。海外遠征明けという調整の難しさも考慮して、評価を少し落としている。

 以下はモズベッロ、レイパパレ、キセキ、カデナという評価の序列。無敗で強敵を打ち破ったレイパパレは当然ながら侮れず、適性に関しても高いモノがあると思うが、前走1着馬の結果が振るわないレースであることや、前走は「挑戦者」という気楽な立場で、あまり他馬からマークされずに済んだ結果だというのを考慮した結果だ。牝馬三強のなかでは、ここの評価を下げて勝負したい。

 そして最後に。宝塚記念とは関係のない「余談」となりますが……10年近く続いてきたこの連載は、今回がフィナーレとなります。思いっきりマト外れなことを言っていた回も多々あったかと存じますが、それでもここまで続けてこられたのは、皆さんのご愛顧があったからこそ。今まで、本当にありがとうございました!

 じつは「データは有意だが、だからといって万能ではなく、結局は使い方次第」というのが個人的な裏テーマだった、この連載。あえてデータ「だけ」で馬券を買う検証などで、データの過信が禁物だというのも、それなりにお伝えできたのではないかと。どんなものでもそうですが、結局は使い方しだいなんですよね。

 それでは、またどこかで再びお会いできることを祈りつつ。


■総論×各論・先々週の馬券回顧



最終回もやはり(#^ω^)ビキビキ

 上位に評価していた03ヴェロックスと、直前のデータ見直しでいかにもクサそうな気配だった04セダブリランテスが同枠に。その他の枠にも上位評価組などが偏って入ったので、ここは迷わず「2枠」から枠連勝負!

 そして安定の撃沈!

 03ヴェロックス、うまく外に出せていたら際どい勝負になったと思うんだけどなあ……しくしくさめざめ。

※コース&血統データは2016年以降、レースデータは2011年以降が集計対象です。
※ギャップ値(G値)は、当該条件における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、優秀な内容となります。
【予想】小林誠の勝負予想は『ウマい馬券』でチェック!

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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