スマートフォン版へ

ウオッカの6番仔が上場!タタソールズ・ディセンバーセール

  • 2018年11月07日(水) 12時00分

セール出身馬の活躍で上場馬の質が高いセッションも


 11月26日(月曜日)から12月6日(木曜日)まで、英国のニューマーケットで開催される、ヨーロッパで最高のミックスセール「タタソールズ・ディセンバーセール」の上場馬が出揃った。

 ディセンバーセールと言えば、繁殖牝馬や現役の牝馬が上場される、後半の「牝馬セッション(12月3日〜6日)」が目玉となるセールだ。昨年も、G1ナンソープS(芝5F)、G1アベイユドロンシャン賞(芝1000m)と2つの短距離G1を制していた現役馬マーシャ(牝、当時4歳)が上場され、600万ギニー(当時のレートで約9憶5760万円)という超破格値で購買されるなど、最上級の牝馬獲得を目指して世界中のトップブリーダーが集結する市場として知られている。

 もちろん、今年の「牝馬セッション」も素晴らしい品揃えなのだが、例年に比べて遥かに上場馬の質が高いと話題になっているのが、「1歳馬セッション」「当歳馬セッション」なのだ。その背景にあるのが、今年1年を通じたセール出身馬の顕著な活躍である。例えば、10月20日のG1コーフィールドC(芝2400m)を含めて、今季だけで3つのG1を制し、G1メルボルンC(芝3200m)でも有力馬の1頭となっているベストソリューション(牡4、父コーディアック)は、14年の当歳セッションにて3万2千ギニー(当時のレートで約635万円)というお手頃価格で購買されていた馬であった。

 この他、ロイヤルアスコットのG1キングススタンドS(芝5F)を制したブルーポイント(牡4、父シャマーダル)、G1フライングファイヴ(芝5F)勝ち馬ハヴァナグレイ(牡3、父ハヴァナゴールド)、G1アルマウトゥームチャレンジ・ラウンド3を制したノースアメリカ(セン6、父ドゥバウィ)、そして、G1フューチュリティトロフィー(=旧称レイシングポストトロフィー、芝8F)を制し来季のクラシック有力候補となっているマグナグレシア(牡2、父インヴィンシブルスピリット)らが、いずれもディセンバーセールの当歳セッションで購買されていた馬なのである。

 これだけ活躍馬が出れば、牝馬セッションを目当てにニューマーケットに足を運ぶ世界のバイヤーが、「少し早めに入って若駒たちのセールも見てみようか」となるのが自然の成り行きで、そうした状況を見越した販売者たちの間で、より上質な馬を1歳馬セッションや当歳馬セッションに提供しようという機運が高まってきているものと分析されている。

 11月26日(月曜日)に開催される「1歳馬セッション」の目玉商品は、何と言っても上場番号59番として登場する牡馬であろう。日本のチャンピオン牝馬で、愛国で繁殖生活を送っているウオッカの6番仔となる牡馬(父フランケル)が、ニューマーケットの市場に登場するのである。

 関係者にお話を聞いたところ、この血統がヨーロッパのマーケットでどれぐらいの評価を受けるのか、試してみたいとの意向があっての上場のようだ。ウオッカを現役時代からお持ちの谷水雄三オーナーは、純然たるオーナーブリーディングを貫いておられる方で、そういう意味でも、牝馬は手元に残すにしても、牡馬はマーケットに出すというのは、非常に理にかなった戦略であるとみる。

 10月のオクトーバー1歳セールではなく、ディセンバー1歳セールへの上場となったのは、5月22日という遅生まれのため、成長を待っていたものと推察される。ヨーロッパの関係者の間でも、言うまでもなく大きな話題となっており、その動向が注目されている。

 11月28日から12月1日まで開催される「当歳馬セッション」がまた、カタログのページをめくっていて驚きで何度も手が止まったほど、空前の品揃えとなっている。

 例えば、上場番号750番の牡馬(父コーディアック)は、前述したG1・3勝馬ベストソリューションの全弟にあたる。あるいは、上場番号1006番の牡馬(父ドゥバウィ)は、母ナイタイムがG1愛1000ギニー(芝8F)勝ち馬で、G1マンノウォーS(芝11F)勝ち馬ズコヴァの半弟にあたる。さらに、上場番号1010番の牝馬(父ガリレオ)は、G1愛チャンピオンS(芝10F)など3つのG1を制したデコレイテッドナイトの全妹にあたる。

 そして、上場番号1042番の牡馬(父ゴールデンホーン)は、G1愛オークス(芝12F)など2つのG1を制し、つい先日のG1凱旋門賞(芝2400m)でも僅差の2着に入ったシーオヴクラスの半弟なのだ。シーオヴクラスのみならず、半姉にはG1リディアテシオ賞を制したチャリティライン、同じくG1リディアテシオSを制したファイナルスコアもいるという、超の付く良血が上場番号1042番なのである。

 一方、母がG1勝ち馬という馬も多く、例えば上場番号963番の牡馬(父ダークエンジェル)は、G1メイトロンS(芝8F)など2つのG1を制したラコリーナの3番仔である。あるいは、上場番号975番の牡馬(父キングマン)は、母がG1BCフィリー&メアターフ(芝10F)を含むG1・4勝馬イズリントンだ。さらに、上場番号989番の牝馬(父フランケル)は、G1独オークス(芝2200m)勝ち馬ペネロパの3番仔である。

 そして、当歳セールの楽しみと言えば、昨年春にスタッドインした新種牡馬馬たちが、どんな子供を出しているかを見ることだ。15年の欧州2歳牡馬チャンピオン・エアフォースブルー(父ウォーフロント)、15年のG1仏ダービー(芝2100m)勝ち馬ニューベイ(父ドゥバウィ)、16年にG1サセックスS(芝8F)など2つのマイルG1を制したザグルカ(父ガリレオ)らの初年度産駒が、どのような出来栄えで、市場でどんな評価を受けるかにも、関係者の注目が集まっている。

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

このコラムの通知を受け取りますか?

お気に入り

すでにお気に入りに登録しています。

登録済

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング