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有馬記念をモデルにしたオールスターマイルが開催

  • 2019年03月20日(水) 12時00分

豪華メンバーになったが、投票のルールに課題も…


 日本の有馬記念をモデルに創設された、新設重賞のオールスターマイル(芝1600m)が、3月16日に豪州ヴィクトリア州のフレミントン競馬場で行われた。

 フルゲート14頭のうち10頭がファン投票で選出されるという試みが豪州で初めて実現したこと、500万豪ドル(約4憶620万円)という破格の総賞金が用意されたことなど、話題性の大きさに惹かれて、筆者も現地まで取材に赴いた。

 1月21日に投票受付を開始し、2月18日で締め切られた投票は、総数で13万9426票に達した。「最低でも10万票」と目論んでいた主催者のレーシングヴィクトリアやヴィクトリアレーシングクラブの関係者は、この数字にまずは安堵したそうだ。更に投票内容を分析した結果、女性による投票がほぼ半数の45%に達したことに満足し、更に、年齢別に見るともっとも投票が多かったのは25歳から34歳の間という、比較的若いファンだったことにもおおいに喜んだという。

 ただし、投票結果そのものは、いささか想定外のものとなった。9793票を得てトップ当選を果たしたのは、準重賞の勝利は2つあるものの、重賞では掲示板に載ったこともないバルフズチョイス(セン6)で、8428票を獲得して第2位となったのは、重賞出走経験すらなかったアーバンルーラー(セン5)だったのだ。両馬はいずれもシンジケートの所有馬で、それぞれの事務局がインターネットを通じて大がかりな「出走キャンペーン」を行った結果、いわゆる組織票が大量に入って、上位当選することになったのである。

 このあおりを受け、昨季のG1ドンカスターマイル(芝1600m)を含めて3つのG1を制している実力馬ハッピークラッパー(セン8)が、自動的に出走権を得られるトップ10圏内から外れる(4241票で12位)事態となった。そのハッピークラッパーや、G1・4勝馬ハートネル(セン)らは、4枠ある主催者推薦枠(ワイルドカード)に入って出走することになり、最終的な出走メンバーは豪華なものとなったが、投票のルールについては来年への課題が残ることになった。

 関係者に話を聞くと、今年はレイティング70以上の馬を投票の対象としたが、来年はこれを80、もしくは90以上に引き上げることを検討するとの回答が返ってきた。

 改善を施すべきもう1つのポイントが賞金の配分で、今年は10着から14着の馬たちにも一律で9万ドル(約731万円)の賞金が支給されていた。すなわち、最下位になっても731万円が入るのなら、力の足りない馬でも出走させたいと思うのが馬主さんの心情で、そんな中から、ある程度の投資をしてまで当選運動を行う陣営が現れたわけである。そこで来年は、賞金支給を例えば10着までにするなどの改定が施されることになるようだ。

 第1回オールスターマイル当日のメルボルンは、快晴で日中の最高気温が25度という、絶好の競馬日和となった。場内のモニターにはシドニーのローズヒルで行われている開催が映しだされていたが、降り続く雨で馬場状態は「Heavy 10」という、最悪の泥んこ馬場となっていた。好天の中での開催となったフレミントンのオールスターマイルは、まずは天に祝福されての船出となった。

 そして、レースそのものも望みうるほぼ最高の結末を迎えることになった。勝ったのは、オッズ3.5倍の1番人気に推されていたミスティックジャーニー(牝3、父ニーズファーザー)。これで通算成績が13戦10勝、前走のG1オーストラリアンギニーズ(芝1600m)に続くG1連覇で、あと2走で引退が決まっているウィンクス(牝7)の後継として、豪州競馬の次代を背負う馬が現れたというのが、おおかたの見るところである。

 同馬を管理するのはタスマニアを拠点とするアダム・トリンダー調教師で、前走のG1オーストラリアンギニーズが、パターン競走の導入以来初めてとなる、タスマニア調教馬によるG1制覇だった。「G1級」における勝利は、1886年にマルアがオーストラリアンCを制して以来133年振りだったから、いずれにしても歴史的快挙である。

 なおかつ、だ。ミスティックジャーニーは、17年2月に開催されたマジックミリオンズ・タスマニアン1歳セールにて、1万1千豪ドル(当時のレートで約95万円)という廉価で購買された馬であった。わずか95万円の馬が、この1レースだけで225万ドル(約1億8279万円)、通算で326万2600ドル(約2憶6505万円)の賞金を手にしたのである。まさしく、絵に描いたようにシンデレラ物語が、紡がれているのであった。

 大観衆がおおいなる盛り上がりを見せる中、当の関係者たちが、なかば呆然とした表情を浮かべていたのが印象的だった。持ち回り開催を表明しているオールスターマイルは、2020年はコーフィールド競馬場が舞台となる。いろいろと課題はあるが、日本馬にとって遠征のターゲットになりうるレースであり、来年以降も追いかけてみたいイベントだと感じた。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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