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育成牧場としての武田ステーブル(村本浩平)

  • 2019年02月19日(火) 18時00分

期待の2歳馬でもあったインティ


 インティが7連勝でフェブラリーSを優勝した。実はインティだけでなく母のキティも、他媒体ではあるが、デビュー前に取材をしている。

 インティの育成先は浦河町の武田ステーブルであり、オーナーは牧場の代表でもある武田茂男さん。メジロ牧場の場長として、その黄金期を支えてきただけでなく、浦河で育成牧場を構えてからは、アドマイヤコジーンやファインモーション、そして、トーホウジャッカルといった活躍馬を送り出してきた。

 武田ステーブルに関しては、武田代表と旧知の仲である、田中哲実さんのコラム「生産地便り」でも幾度か取り上げられている。また、インティの生産者である山下恭茂さんと田中さんは、高校時代の同級生。このフェブラリーS優勝を受けて、田中さんが「生産地便り」でどんなコラムを書いてくれるかが、一読者としても非常に楽しみである。

 今回、このコラムでは、「育成牧場としての武田ステーブル」について取り上げたい。獣医師の資格を持つ武田代表は、BTC近辺の育成牧場で管理されている馬の治療も行っている。そのことを武田代表から聞いたときに、

「牧場の馬たちもいるのに大変じゃないですか?」

 と訪ねると、

「他の牧場でどんな馬を育てているかだけでなく、色々な血統の馬も見られるので勉強になるよ」

 と事もなげに答えてくれた。また、民間の育成牧場としては珍しい、診療馬房も備えている武田ステーブルには、疾患などで状態が思わしくなくなった現役馬だけでなく、時には他の牧場で管理されていた育成馬もやってくる。厳密な育成馬とは言えないかもしれないが、武田ステーブルでの治療や調整を経て復帰を果たした中には、その後、重賞を沸かしているような活躍馬もいる。

 勿論、武田代表は武田ステーブルの管理馬たちを、ベストな状態で競馬場へと送り出すべく、細心の注意を払ってきている。その事実を改めて実感できたのが、トーホウジャッカルが菊花賞を勝利した後の取材だった。武田氏は治療の過程が記された資料を預けてくれた上で、こちらの質問に対して、懇切丁寧に説明をしてくれた。その時に改めて、トーホウジャッカルは武田ステーブルで育成されてきたからこそ、命が危ぶまれる程の疾患から復帰できただけでなく、デビューから僅か149日で菊花賞馬ともなれたのだと思えた。

 インティもまた、デビューが3歳の4月と遅れた馬である。これは母キティが骨折でデビューが3歳の6月と遅れたことを踏まえて、インティにも検査を行ったところ、同世代の馬たちよりも化骨が半年ほど遅れていることが分かった。ただ、インティにとっても幸いだったのは、武田ステーブルがしっかりとしたケアを施してくれる牧場であり、そして、武田オーナーが馬優先でデビュー時期を待ってくれたことだろう。

 しかしながら、キティもインティも期待の2歳馬として話を聞いていた理由。それは武田代表や、子息の武田浩典専務が2頭の能力を買っていたからに他ならない。POG期間と言われる、その年最初の2歳新馬戦から、日本ダービーまでの期間。初勝利をあげたのが日本ダービー以降となるキティとインティは、そのルール上ではポイントを加算できたとは言えない。しかしながら、キティはその後に4勝を上げる活躍を残し、インティに至っては、東海Sも含めての7連勝でGI制覇を成し遂げた。

 今年の「POGの達人」でも各牧場のスタッフが一生懸命に手入れを行った期待馬の写真や、牧場スタッフが話したくて仕方がないような、お薦め馬のコメントが掲載されていく。POGというルールの中では結果を残せなかったインティではあるが、あの時、武田専務から聞かせてもらった将来を嘱望する言葉は、結果として真実となった。

 勿論、POGを楽しむ上で「POGの達人」を有効に使っていただきたいという気持ちに変わりは無い。できるならそれに加えて、各牧場の期待馬にもできるだけ目を配っていただければとも思う。「第二のインティ」は、きっと、今年の「POGの達人」の中にいる。

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