「子供のころからいい馬でした。今でも待ち受けにしているほどです」
5月11日に札幌競馬場で行われた「北海道トレーニングセール」。POG情報にも直結しそうな、その会場で取引された期待馬、そして「赤本」の育成牧場徹底リポートでもお世話になった育成牧場の関係者を中心に、ドラフト前の最新取材を行ってきた。
昨年はデアリングタクト、そして今年はタイトルホルダーと、2年連続してクラシック戦線を沸かす活躍馬を送り出してきたノルマンディーファーム。赤本でも取り上げられていたスマートシンパシーの2019(牝、小島)は、身体能力の高さを物語るような様々なエピソードが、岡田壮史さんから聞かれた。
「心肺機能に優れており、どこまででも駆け抜けていきそうな、高いスタミナ能力も有しています。ハミ受けも解消されてくるにつれて、落ち着きも出てきました。6月頃の入厩を予定しています」
岡田壮史さんから高い評価を受けているスマートシンパシーの2019は6月頃入厩予定(C)netkeiba.com
赤本に出ていない馬で、と話を持ち掛けた際に、名前が出てきたのが、ホウオウモンスター(牡、尾形)だった。
「血統的なイメージとは違って、短距離向きと言える前向きさとスピード能力の高さが感じられます。まだ、子供っぽさこそ残ってはいますが、ここに来て気性の成長も感じられるようになりました。函館開催でのデビューを予定しており、そこから函館2歳S制覇を目指してもらいたいです」(岡田壮史さん)
このセールでは3頭の上場馬を管理してきた三橋ステーブル。そのうち、カリスの2019(牡、父アジアエクスプレス)が810万円で落札と、育成力の高さを示したような高い評価を受けていた。
育成を手掛けた3歳世代からも、タガノパッション(牝、鮫島)がスイートピーSを優勝。オークス出走を決めているが、この活躍に続いていきそうな、2歳世代の期待馬について話を聞かせていただいた。
「血統的にも期待をしているのが、タガノエスコート(牡、五十嵐)です。こちらに来た時から、完璧と思えた馬体をしていたほどに完成度が高く、同世代の馬では力の違いも感じていたので、1つ上の世代と併せ馬をしていました。走りも安定感がありますし、マイルから更に距離を伸ばしても対応できると思います」
とは三橋慶太代表。即戦力として期待できそうなのが、既にゲート試験に合格したというイエローブーケ(牝・武市)。今年の1歳世代でも、楽しみな血統馬が来そうです、との話も聞かせていただいただけに、浅野さんにお願いして、来年は赤本の育成牧場リポートで取り上げてもらうことにしよう。
その浅野さんが取材に行かれたパッショーネであるが、このセールではサクセスゴーランドの2019(牡、父モーリス)を上場。鑑定台に姿を見せた瞬間から活発な取引の声がかかり、1250万円で落札されている。
「前日の公開調教では、ゴール板を過ぎてから更に手ごたえが良くなったと鞍上を務めてくれた八嶋雄太さん(ヤシ・レーシングランチ代表)が話していました。牧場では充分過ぎるほどのトレーニングを行ってきたからか、札幌競馬場の運動量では足りないとばかりに体重も増えていた程です。速い時計を出しても、全然へこたれた様子もなかったですし、背中の使い方も上手な馬。血統的なことを考えても、これから経験を重ねながら、更に良化してくれると思います」
と西野城太郎代表は笑顔を見せた。
このトレーニングセールにおける、最高額の落札馬となったのが、カシマフラワーの2019(牝、父モーリス)。前日の公開調教でも1ハロンのファステストラップとなる1ハロン10秒98を記録。そのタイムだけでなく、エーデルワイス賞(GIII)、すずらん賞(OP)の勝利など、ダート、芝の双方で勝ち鞍をあげていた母の競走成績が加わったこともまた、このセリにおける評価を高めた。
北海道トレーニングセールの公開調教でファステストラップを記録したカシマフラワーの2019(撮影:田中哲実)
「子供のころからいい馬でした。今でもLINEの待ち受けにしているほどです」
とセリの後に話していたのは、生産牧場である北島牧場の北嶋佳和代表。父であるモーリスも、このトレーニングセールで2ハロンのファステストラップを記録。その後の活躍に繋がったことからしても、カシマフラワーの2019もまた、切れのあるスピードを武器として、2歳戦を沸かしてくれるに違いない。
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