日本ダービーの実況を16年間担当した長岡一也が競馬と人生観を語る
長岡一也
月愛でる頃、果たして今年の秋はそのようになってくれるのであろうか。あまりにも荒々しい天候が続いたあとなので、本当に涼やかな気分が訪れるのだろうか。確かにいつもと異なる心もちでいる。...
四十年以上も競馬放送に携わってきて、今更そんなことという気もするが、時折訪れる心境が面白い。まぐれ当たりでも、それで損をしなければそれでいいのだが、そんなものは当てにならない。では...
少しばかり堅い話を。オリンピックが終わって落ち着いたところで、常々心に引っかかっていたことが浮かびあがってきた。最近のテレビのスポーツ報道には、ジャーナリズムという側面が蔑ろ(ない...
流通してこそ金の意味があると言い聞かせている。“金は天下の回り物”であって、人の手から人の手へと世の中を巡りめぐって行くから、やがては自分の手元にもどってくることになっている筈なの...
夢の御告げがあったといった類の話はよく耳にする。神仏が予言などを人間に告げ知らせるというのだが、残念ながらまだ経験したことがない。夢の中では、この世でお目にかかることのできない故人...
頼んでもいないのに、頻りに予想を述べてくれる人がいる。競馬を介して知り合いになると、こんなことがよくあるものだ。気分が軽いと、ついつい頭に浮かんだことを言ってみたくなり、それは、期...
どこか心の片隅で、いつも思っている。運を掴めばいいことがあると。成功の秘訣は、何といってもまず心掛けが第一なのだが、どうもそれだけでなく、運の有る無しが大きいようだ。成功と失敗をテ...
勝ち馬は、偶然に現われるものだろうかといつも自問している。そして、まぐれ当たりでもいいからとにかく当ててみたいと、こころはそっちに向かっていく。どう仕様もない。それでなんとかなって...
ひとが謎解きをしていく物語が捕物小説なら、競馬も、ひとが謎解きをする点は一緒と言える。ところが、こちらは解決しないことの方が多い。どのくらいの確率になるだろうか。ひとによって異なる...
成果主義、この扱いは難しい。突き詰めていくと苦しくなる。どう仕様もない焦りを覚え、そこから抜け出せなくなってしまう。世の中、これに市場原理の競争が加わり、結果を出せなければ評価され...
視点を変えて見てみる、そうすると新しいことに気付くことがある。思いがそこにいたるというのか、感づくというのか。年に一度しか会えない彦星と織姫を可哀そうと思う一般的な感情も、数十億年...
競馬史に残る名勝負、それには万人が認めるものもあれば、そうでもないものもある。しかし、どんなものであれ、そこには人それぞれの思いが込められている。また、名馬についても同様だ。よく、...
始原に返る、物事が行き詰った時思いつく人間の知恵は素晴らしい。そもそもについて思い起こせば、そこに一条の光が見えて来て、それまでどう動かしようもなかった観念が動き出すことがあるのだ...
ことさらな為業(しわざ)のない無為の行動こそ、真実の道のはたらきを生み、ことを立派に成し遂げると教えている。多くのことに通じていくこの哲学は、競馬の勝利の姿によく見る。為さずして為...
状態が余程良かったのは側にいてよくわかった。何しろ、桜の小枝に飛び付こうとするんだから。これは、かつてダービーを勝ったダイシンボルガードの大崎騎手が言っていたこと。また、大人気のハ...
人の一生には山あり谷あり、どのくらいの不しあわせならよしとすべきか。何も彼もが意のままにと思えたことは、殆どない。だからと言って不幸だなんて考えるものではないし、突き詰めれば悲しく...
期待するから失望する、夢を見るから破られる、何にも大まじめに言っているのではない。競馬に参加していれば、こんなことは当たり前だからだ。それでも、信じてつき合っている方がマシというも...
望みは大きいに越したことはないと、これみんなが思っていること。とにかく望なのだからと。ある面では正しいと言えるのだが、いつまでたっても叶えられないと、そうとばかりは言ってられない。...
希望の星、輝きを放つその姿は、この先に続く救いの道を示してくれる。みんながなにかにつけ、希望の星を追い求めるのは、ある種の宿命から解放されたいと願っているからではないか。人間の宿命...
道は遠い、上には上がある。いつだってあと一歩と思い知らされる。様々な場面で体験してきたこれらのことごと。そうした中で、いまもって生き残っているものがいくつかある。やっていて面白いと...
801〜820/1,161件