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【競馬】“函館の鬼”手掛けた腕利き厩務員 ニホンピロバロンでG1初V目指す

デイリースポーツ
  • 2016年07月12日(火) 12時30分
 梅雨の終わりが近づき、いよいよ夏本番到来-。毎年、この時季に必ず思い出す1頭の競走馬がいる。今週末に行われる函館記念を3連覇(05〜07年)したエリモハリアー(セン16歳、元栗東・田所秀孝厩舎)だ。現在、函館競馬場で誘導馬として活躍中。管理していた田所秀孝調教師は「乗馬苑(センター)で子どもたちにもかわいがってもらって、元気で丈夫にやっているみたい」と近況を語っていた。

 同馬を含め、JRA平地同一重賞を3連覇したのは、セカイオー(56〜58年鳴尾記念)、タップダンスシチー(03〜05年金鯱賞)、マツリダゴッホ(07〜09年オールカマー)、ゴールドシップ(13〜15年阪神大賞典)の5頭のみ。その偉業も評価されたのだろう。先日、発表された「函館を駆けた名馬ベスト10」でハリアーは第4位と高い支持を集めた。

 「G1を勝ってないのに、そうやって選んでもらえるのはありがたい」とほおを緩めたのは、担当だった谷中康範厩務員だ。1位ゴールドシップ、2位ナリタブライアン、3位サッカーボーイなど、ほかの9頭は全てG1馬。それだけ、ハリアーが函館で見せた熱い走りが感動を呼び、人々の心に深く刻まれている証拠ではないだろうか。

 「初めて勝った(05年)函館記念が一番印象に残っているよ」
 田所調教師と谷中厩務員は、そう声をそろえる。「直前の巴賞(1着)は本田くん(本田優現調教師)が乗っていたけど、ウチには所属ジョッキーの北村浩平(現調教助手)がいたから。オーナーに“乗せたい”って頼んだんだ。弟子と勝った重賞だし、はっきり覚えているよ」と指揮官が話せば、谷中厩務員は「初めて担当馬が勝った重賞でね」と当時を懐かしんでいた。

 翌06年の函館記念で連覇達成。同年札幌記念5着後、朝日チャレンジC(現チャレンジC)に向けて調整中に屈腱炎を発症し、約10カ月間の休養を強いられた。復帰戦となった07年巴賞は最下位の11着。「もう駄目か」-。そんな周囲の“雑音”を一掃したのが、7番人気で制した自身3度目の函館記念だった。

 「巴賞後はハードトレというか、調教師の指示で長めに乗ったり、調教量を増やしたりしていた。それにしても、函館はよほど水が合うんだろうね」と谷中厩務員も感心するほどの快走劇。その後、再び勝利することはなかったが、史上初の函館記念3連覇で、今年開設120周年を迎えた同競馬場の歴史に名を刻んだのは間違いない。

 田所厩舎は今年、ハリアーで果たせなかったG1初勝利に挑戦する。京都ハイジャンプで重賞初Vを飾ったニホンピロバロン(牡6歳)。障害戦に転向後、6戦5勝、2着1回で勝率8割、連対率10割を誇る将来性豊かなジャンパーで、年内の大目標は中山大障害(12月23日・中山)制覇。同馬を担当するのも谷中厩務員だ。

 「自分から進んで(障害を)飛ぶし、タフで長い距離も大丈夫。前走も余力残しで、障害ではまだ底を見せていない。ぜひ、年末はG1を獲りたいね」。

 今年は10数年ぶりに、北海道に出張しない可能性が高いという同厩務員。函館にいる“相棒”に会えない夏は寂しくもあるが、その分、秋以降に待つ大きな仕事に全力投球するつもりだ。今週末の函館記念でも、誘導馬を務める予定のエリモハリアー。ともにかなえられなかったビッグタイトル奪取に向け、陣営が懸命に取り組む姿を追い掛けていきたい。(デイリースポーツ・大西修平)

提供:デイリースポーツ

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