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美浦トレセン新厩舎オープン 木村厩舎は巨大ウオーキングマシンを設置

デイリースポーツ
  • 2017年05月09日(火) 11時00分
 先日、美浦トレーニングセンターで新厩舎の内覧会が行われ、第1期としてトレセン内の“北の杜”地区に建設された新厩舎を取材した。

 真新しい厩舎。変わった点のひとつとして挙げられるのは馬房の配置だ。これまで横一列に並んでいたものが、通路を挟んで向かい合う対面式を採用。今はこちらがスタンダードで、ほとんどの牧場が対面式になっている。内覧会で厩舎を開放した木村哲也調教師は、「牧場で対面式に慣れている馬、特に2歳馬が、横一列の配置に戸惑い、ストレスを感じるケースが見られます。その点、対面式はもともと慣れている上、前に馬がいる安心感があります」と分析する。

 また、天井を高くし、空気の流れができるように送風機を設置。さらに、滑り止め、防音のため、床にゴム製のマットを敷くなど、細かいところまで変えた。そして話題になっているのがウオーキングマシンだ。新厩舎は事務所棟、馬房棟、洗い場棟の3棟をコの字型にレイアウトし、その前には各調教師が独自の工夫をできるような広場を設けている。そこに木村厩舎はウオーキングマシンを設置した。直径16メートルで同時に6頭の馬が調整可能。時速は2キロから10キロまで調節でき、左右どちらにも回転する仕様になっている。

 同師は「使い方についてはまだ手探りの段階ですので」とした上で、「ウオーミングアップ、クーリングダウンで使うことになると思います。背中の弱い馬など、人が乗らずに調整できるメリットはありますね」と説明。これまでの厩舎とはまるで違う。

 競走馬のために改善された新厩舎だが、それだけはない。働くスタッフに配慮したつくりにもなっている。今、美浦、栗東では、トレセンで働く人がいい仕事をできるような環境づくりに努めている。その一環として行われているのが安全監視。東西のトレセンで16年から開始。4月、10月の年2回、トレセンで働く人の中から安全監視者を任命し、注意喚起をするというものだ。監視者はその期間中、黄色い腕章を着用し、周囲に目を配りながら作業する。安全監視者は騎手、調教師、助手、厩務員などの厩舎関係者だけとは限らない。トレセンで働く人が、それぞれの立場から安全に仕事ができるようにする。その中には我々、マスコミ関係者も含まれている。

 美浦トレセンの労災発生件数は、安全監視者を配置前の15年4月27件、10月27件に対して、開始後は16年4月14件、10月25件、今年の4月12件と数が減っている。安全への意識を高めることにより、これまで不注意で発生した事故を未然に防げている。もちろん、これは監視者を配置した成果だけによるものではない。防具の徹底装着をうながすなど、細かいところにも注意喚起をしている。全ては安全でよい仕事ができるような環境をつくるためだ。

 競馬にとって主役は競走馬。しかし、それを支えるのは人間である。安全衛生委員長を努める大竹正博調教師は「競走馬にとっていい環境をつくるのはもちろんのこと、働くスタッフにも気分良く仕事してもらえるような環境をつくらなければならない。そのためにできることをしていこうと思っています」と語る。今後のトレセンがどう変わっていくか見守りたい。(デイリースポーツ・小林正明)

提供:デイリースポーツ

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