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浦和1400を理想のラップで逃げ切ったサイタスリーレッド/オーバルスプリント回顧(斎藤修)

  • 2017年09月21日(木) 18時00分
 いよいよJBCが近づいて、特に今年のスプリント路線は主役不在となっており、ここから新たな有力馬が誕生するかという一戦。3歳のリエノテソーロ、4歳のサイタスリーレッドが単勝2.7倍で並んで人気の中心となったのは、そうした期待もあってのことだろう。

 モンドクラッセが行くかに思われたが、サイタスリーレッドが難なくハナをとった。浦和の1400mはスタートから1コーナーまで、スタンド前の直線をフルに使えるので枠順はあまり関係ないように思われがちだが、逃げ馬はやはり内枠のほうが有利だ。好ダッシュを決めたサイタスリーレッドに、モンドクラッセは押しても押しても並びかけることができず、そのうちに1コーナーを迎えてしまった。

 昨年のさきたま杯では、4番枠のソルテが好スタートから先頭に立ち、ハナを取りたいコーリンベリーは11番枠から押していったものの並びかけたまでで1コーナーを迎えてしまい、結局は逃げたソルテがマイペースに持ち込んで逃げ切った。道中のラップタイムを見ると、今回のオーバルスプリントは、そのときと驚くほど似ている。

 2016さきたま 12.4- 11.6- 12.5- 13.0- 11.6- 12.4- 12.4
 今回オーバル 12.1- 11.4- 12.2- 12.8- 11.5- 12.6- 12.5

 先行争いで勢いがついた2F目は当然のように速くなるが、レースのちょうど中盤4F目、向正面の直線では逃げ馬が息を入れてもっとも遅いラップ(今回は12秒8)に落ち着いている。そして5F目に11秒台のラップを記録しているのは、3コーナーの入口からペースアップしたところ。追いかけてくる馬にはいかにも厳しいペースで、逃げ馬が完璧にペースをコントロールして逃げ切ったというレースだ。さきたま杯より少しずつラップが速く、勝ちタイムでも今回が0秒8上回ったのは、そのさきたま杯が良馬場だったのに対して、今回が稍重という馬場状態の違いはあっただろう。

 サイタスリーレッドは、ダートに転向し4連勝で臨んだクラスターCでは1番人気に支持されたものの、ラブバレットに直後でマークされ、最後は脚が上がって3着。ただそのときは3カ月ぶりの実戦に加え、盛岡への長距離輸送もあった。しかし今回は-11kgときっちり馬体を絞ってきた。そして鞍上には戸崎圭太騎手という心強い味方を得たことも大きい。あらためて書くまでもないが、戸崎騎手は南関東の出身で、このオーバルスプリントも2014年から3連覇中。これで4年連続制覇となった。

 サイタスリーレッドは、JBCスプリントが目標とのことだが、さて、今回の勝利を加えた賞金だけで出走枠に入れるかどうか。昨年(川崎開催)は中央5頭枠のうち3頭がJpnIの勝ち馬で、残るダノンレジェンドは重賞8勝、レーザーバレットもJpnIIIを3勝していた。今年は大井開催で中央枠は少なくとも6頭にはなるだろうが、確実に出走するためには、ローテーションが厳しくなるが東京盃で1着になって優先出走権を得るか、2着に入って賞金を加算する必要があるかもしれない。JBCは別としても、今回初めてのコーナーを4つまわる地方の1400メートル戦で結果を出したということでは、まだ4歳でもあり、来年以降への期待も高まる。

 そして2着に、メンバー中もっとも重い別定56kgを背負った9歳のレーザーバレットが入った。前が厳しいペースになったときに、中団で脚を溜めて直線で脚を伸ばすというもっとも得意とするパターンで、上り3Fはメンバー中最速の36秒2。一昨年、昨年とこのレースを連覇しているように、もともと地方のコーナーを4つ回る1400メートルを得意としているが、中でも浦和コースとは相性がいい。3、4コーナーではラチ沿いから一気に位置取りを上げてきたが、地方の小回りコースの3、4コーナーで内を突く岩田康誠騎手のコース取りは毎度のことながら見事だ。

 クラスターCを制した地元期待のブルドッグボスはインの3番手を追走したものの、直線は弾けず3着。さすがに前走クラスターCには-16kgという渾身の仕上げで臨んでおり、いかに地元といえどそれ以上はなかったということか。

 別定50kgということもあって人気を集めた3歳牝馬のリエノテソーロは、5番手を追走してペースが上がった3コーナー過ぎで3番手まで押し上げたときは、おっ!と思わせたものの、そこまで。直線は失速して差のある5着。体調面などの問題でなければ、古馬相手のペースは厳しかったと言わざるをえない。デビュー以来ずっと好走を続けてきた牝馬が、2戦連続の大敗で、そのまま落ち込んでしまわないかが気にかかる。

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