同じ条件のオープン特別の名前を流用しているのでまぎらわしいが、正確な位置付けとしては、阪神で行われていたラジオNIKKEI杯2歳Sの流れを汲む後継重賞で、今年で34回目を迎える。
前身の時代から数多のクラシック馬を輩出する出世レースとして知られたが、
リニューアル3年目となる昨年の勝ち馬
レイデオロが今年の
日本ダービーを制覇。2歳戦屈指の重要レースとしての伝統に変わりはなく、満を持して今年からGI昇格となった。ここでは、ラジオNIKKEI杯2歳Sを含めた過去10年の結果から傾向を探る。
1.スタミナが問われる一戦
コーナー4つのコース形態で行われる2歳重賞は他に、
札幌2歳Sと
京都2歳Sがあるが、「直線に坂があるコースの芝2000m戦」としてはこのレースが初めて。この時期の2歳馬にとってはタフな条件であり、勝ち時計も通例2分1秒を超える。過去10年の勝ち馬でクラシックを制した馬は5頭いるが、内訳はダービー馬が3頭、
菊花賞馬が1頭で、
皐月賞馬は1頭。2000mという字面以上にスタミナを要するレースである。
2.オープン実績は当てにならない
前走で新馬を勝ったばかりだった馬が過去10年で3勝。また、前走で重賞・オープンを使って連を外していた馬も3勝を挙げている。これ以前の2歳中距離戦はほとんどが少頭数でスローペースになるため、スピードタイプでも折り合いがつけば好走が可能で、マイラー色が強い馬はここでふるいにかけられることになる。
3.差す準備はできているか
過去10年で逃げた馬の勝利は1例もない。2008年には単勝130円という断然人気に支持された
リーチザクラウンが2着に敗れている。2012年には7頭立ての少頭数でハナを切った
バッドボーイが2着に粘ったことがあるが、この馬はそれ以前は差す競馬をしていて折り合いに不安がなかった。
スタミナがあって差せる馬という観点から、
ハーツクライ産駒の
フラットレーに注目したい。断然人気のアイビーSを5着に敗れたことで印象が悪いが、不良馬場でスローペースにも関わらず隊列がバラバラで、物理的に差しが利かない状況だった。半姉の
バウンスシャッセは中山で重賞を2勝、自身も札幌芝1800mであっという間に抜け出す脚を見せており、パワー馬場の小回り中距離がぴったりという馬だ。