2018年となりました。今年も馬券のヒントを隠し味に馬たちの素顔をお届けする「ねぇさんのトレセン密着」、スタートです!
今年のクラシック路線、牝馬で一番の注目馬はやはり
ラッキーライラックです。デビュー戦から
阪神ジュベナイルフィリーズまで3戦3勝。
アルテミスS、阪神JFともに危なげない勝ちっぷりで実にお見事!パドックでも一戦ごとに体の緩さがとれ、力強くなっている印象を受けました。態度もとても堂々としていましたね。
しかしながら、担当の丸内助手は
「あんな堂々と歩けているのが不思議でしょうがない」
と言います。あれれ?では、
ラッキーライラックは普段はどんな女の子なのでしょう?
「気の小さいところがありますね。たとえば、馬房でカイバを食べるときも、誰もいなくなったあとにこっそり食べたりしています」
なるほど。人の気配をすごく気にするタイプのようですね。最近、“馬のオフの時間の確保が大切”と提唱する厩舎は少なくありません。
ラッキーライラックにとっては、他馬以上にそういったオフの時間が大切なようです。
そのくせ、馬の群れの中でひとりになってしまうと困ってしまうとか。
「2歳の夏、ウッドチップコース2周を
松永幹夫厩舎の馬たちが何頭かでキャンターで走っていたんです。当初からラックだけ2周、他の馬たちは1周の予定だったので、1周終えるとラック以外の馬たちは走るのをやめてしまって、ラックだけポツンと周囲に馬がいない状態になってしまった。すると、アレ?アレ??と戸惑うんです」
さらには、雨の日だった
アルテミスSの装鞍所での出来事。
「雨だったので、他の馬たちは馬着(注:馬の胴体を覆う服のこと)を着ている馬が多かったのですが、ラックはそれを見て怖がっていました。そして、検量室側から調教師たちが傘を開いてやってきたのですが、その傘を見てやはり怖がるんです」
そんな繊細な女子っぽいエピソードを聞けば聞くほど、レースでは横綱相撲、パドックでは威風堂々と闊歩している牝馬が同じ馬とは思えず、確かに驚かされますね。管理する
松永幹夫師によれば、普段は栗東でも「調教では前向き、厩舎では落ち着きます。とても調整しやすい馬です」とのこと。オンとオフの切り替えがとても上手なようです。
12月13日からノーザンファームしがらきへ放牧に出て、年末年始も同牧場で調整されています。春のクラシックでさらに進化を遂げた彼女に会いたいです。
(取材・文:花岡貴子)