重賞の過去の傾向を知りたければ中村調教師に聞けばいい。手応えのある馬を重賞に出走させる際、同師は過去のレース映像をくまなくチェックする。どういうタイプの馬が好走しているとか、脚質、斤量などを細かくチェックし、それに見合った戦術を練るからだ。
だが、
キンショーユキヒメを出走させる土曜のGIII
愛知杯に関しては、過去のレース映像よりも気になることがあった。「
府中牝馬Sに出走した馬の中ではウチの馬が最先着。この組には負けないと思ったけど、他の組で1頭気になる馬がいて…。4戦3勝の馬がいるじゃないかって」。その
リカビトスの成績に驚いたトレーナーは過去のレースをチェックし、さらにびっくりしたそうだ。
「
ディープブリランテ産駒なんだろうけど、走りは
ディープインパクト産駒。あれだけの決め手を使うというのは脅威。しかも大事に使ってきたのか、常に間隔を空けてレースに出走して3連勝。なかなかできることじゃない。しかも今回は51キロ。あの馬は不気味だよ」
人気の中心は昨年のこのレースを制した
マキシマムドパリだろうが、中村調教師は
リカビトスにより脅威を感じているというのだからよっぽどだろう。前走の
秋華賞(10着)は道悪が影響して走れなかったこの馬の反撃には注意したい。
もちろん、同師がここまでメンバーをチェックしているのは、それだけ
キンショーユキヒメに手応えを感じているから。
「追い切りは乗り手いわく完璧だったと。牝馬らしからぬ体をしているし、このメンバーで一番中京で結果を出しているのもこの馬。十分チャンスはあるよ」。この馬の激走にも要警戒だ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ