全休明け(16日)の美浦南スタンドで、突然こんな話題を
国枝栄調教師が振ってきた。
「以前、競馬場で会った久詞(清水久調教師)に“
キタサンブラックってそんなに丈夫か”と聞いたんだ。そしたら“アレはすごいです”って。だよな…。一流馬になれるか否か、そこが境目。おっかなびっくり稽古をしているようじゃ、持てる素質も磨かれない」
おそらくこんな話をしたのも、管理馬
タンタアレグリアが制した1年前の
AJCCを思い出したためだろう。同馬は4歳春、後の
ジャパンC優勝馬
シュヴァルグランと好勝負を演じていた好素材。昨年は本格化が期待されたが、体調が整わずその後は
オールカマー(3着)のみでシーズンを終えた。ダイヤモンドも磨かなければただの石。7か月ぶりの復帰を果たす
ゴールドアクターにしても、今年の
AJCCは軌道に乗るための重要な
ステップになろう。
さて“頑強さ”という意味で当方が注目する関東馬が、今週のGII
東海Sに出走予定の
ローズプリンスダムだ。一昨年の10月デビューから今回が12戦目。
ジャパンダートダービーでの落鉄などレースでは何かとアク
シデントの多い馬だが、過去最長の休養は
レパードS(1着)→
みやこS(7着)の3か月。同世代の
エピカリスが蹄との闘いを強いられる中、無事是名馬の階段を上がっているのは確かだ。
「まだまだ体の線が細くてダート馬って雰囲気がないし、GIのパドックでは人間のほうが気後れするほど。脚も曲がった馬ですけど、それでも競馬に行けば頑張るんですから大したものです」
担当の齋藤功助手が語るように中央GI初挑戦となった
チャンピオンズCも12着ながら着差わずか0秒7。出負け&4角で不利があったGIII
みやこSでも直線盛り返す姿を見せるなど、フィジカル以上に頑強なメンタルが当方のお気に入りポイントでもある。
「前走は外に出したい直線で
ゴールドドリームに一気に来られて、内で進路を探しつつの運び。3歳の身を思えば格負けもせず頑張ったと思う。強敵相手の競馬がいい経験となってくれればね」と
畠山吉宏調教師。古馬一線級との戦いが原石に磨きをかけたとすれば…。主役
テイエムジンソクを逆転するまではどうかも、他のメンバー比較なら馬券圏内は十分ありそうだ。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ