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パワーアップを感じさせたケイティブレイブの逃げ切り/川崎記念回顧(斎藤修)

  • 2018年02月01日(木) 18時00分
 ケイティブレイブが、あらためて長距離戦でマイペースに持ち込んでの強さを示した。東京大賞典でも行く気を見せたケイティブレイブだったが、先行争いが、マイルのGI/JpnI勝ちのみならず、スプリントのJpnIまで経験したコパノリッキーでは相手が悪かった。そのコパノリッキーはすでに引退。先行争いの可能性があったアウォーディーは、あとで詳しく触れるがスタート直後のごちゃごちゃで前には行けず。ケイティブレイブはほとんど無理することなくハナに立ってマイペースの逃げに持ち込むことができた。

 川崎の2000/2100m戦ではスタンド前の直線でペースが落ちるが、4コーナー手前の残り1600mから向正面に入った残り800mまで、4F分のラップが、13.8 - 12.8 - 13.9 - 14.2と、定石通りにペースを落として息を入れた。そのスタンド前では、格下の地方馬までほぼ一団だったことでもスローペースだったことがわかる。そして最後の4Fのラップが、11.7 - 12.3 - 12.7 - 12.1。向正面の直線で11秒7と一気にペースを上げ、その後もペースを緩めることなく後続勢の末脚を完封した。

 大きく出遅れて勝ってしまった昨年の帝王賞は、まさに“ひょうたんから駒”。「新しい一面を引き出せた」(福永祐一騎手)ことで、その後は何戦か控える競馬を試みたものの勝ちきれず。しかしそれが無駄だったわけではなく、そうした経験でまた一段パワーアップしての今回の完勝となった。あらためてケイティブレイブにとっての好条件は、地方小回りの長距離戦で、ゆったりしたペースでの逃げか2番手。コパノリッキー引退後、ダート古馬中長距離路線の覇権を握る有力候補といってよさそうだ。

 2着に負けたとはいえ、アポロケンタッキーも自分の競馬はできた。この馬の勝ちパターンは、ゆったりしたペースの逃げ馬を直後でマークし、直線での追い比べに持ち込んでねじ伏せるというもの。2コーナーから向正面でケイティブレイブの尻を突きはじめた(もちろん実際に突いたわけではない)あたりでは、ひょっとしてアポロケンタッキーの術中に嵌まったか、とも思って見ていたが、今回はケイティブレイブの充実ぶりが上回っていた。4コーナー手前でケイティブレイブに差を広げられたあたりで鞍上の手が動いていたが、それでも1馬身半差で食い下がった。上り3Fもケイティブレイブと同じ37秒1だった。

 メンバー中最速の36秒8で上がったものの、勝ち馬には2馬身半ほど及ばなかったのがアウォーディー。スタートでほんの少しではあるものの出遅れ、外のキャッスルクラウンに被されてしまった。それでもキャッスルクラウンが行ってくれればよかったが、キャッスルクラウンが徐々に位置取りを下げたものだから、アウォーディーはさらに下げて外に持ち出すしかなかった。さらにグレンツェントも一旦下げて内に入れようとしていたところ、アウォーディーにとってはそれが前で壁になってしまい、再度手綱を引く場面があった。スタートから最初の3コーナーの入りまでに、アウォーディーは2度のロスがあり、そこから好位をとるために脚を使ってしまった影響は少なからずあっただろう。

 サウンドトゥルーは、まったくの末脚不発。予想でも書いたとおり、ロングスパートでの末脚勝負のこの馬に、道中でがっつりペースが落ちる川崎2100m戦の流れは合わない。4着のグレンツェントから5馬身も離れての5着。上り3F=37秒7は、そもそも能力を発揮していない。差し切るまでには至らずとも、本来の調子であれば、今回のアウォーディーと同じような末脚は使っていいはずだ。

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