平野歩夢がスノーボードハーフパイプで銀メダルを獲得した翌日(15日)の美浦トレセン。
阪急杯に
レッドファルクスを送り出す
尾関知人調教師が複雑な笑みを交えて、こう語った。
「1週前としては想定以上に馬にスイッチが入ってきた。
ダブルコーク1440の連続技は、できれば決勝まで取っておきたいんですけどね」
賢明な読者はお分かりだろう。“決勝”とは昨年3着(1番人気)に終わった
高松宮記念。今回は「本番を勝つための策」(尾関師)としての
ステップであり、大技を出すまでもない予選ということ。まして鞍上は次回ラ
イバルの
川田将雅(
高松宮記念は
ファインニードルに騎乗)。予選1位通過はさほど意味を持たず、すべてをさらさぬ走りこそ陣営の理想なのである。
ただ、これは同馬に限った話でもない。この時期の古馬重賞に出走する実績馬は、おしなべて春のGIを見据えている。結果より内容を問うべき舞台であり、時にそれが昨年
阪急杯のような波乱(3連単248万円超)を生んでいる。それはGII
中山記念も同様だ(昨年は3連単31万円超)。GI馬
アエロリットや
ペルシアンナイト、昨年と同じローテ(
中山記念→
ドバイターフ)を選択した
ヴィブロスの目線がどこにあるかは明白。ならば狙うべきは、どの馬か。
「昨年の今の時期は小粒と言われた世代が、年を明けてからも結果を出し続けている。その流れに乗りたいね」
中山金杯は
セダブリランテス、
AJCCは
ダンビュライト、
京都記念は
クリンチャー、そして先週は
トリオンフが
小倉大賞典でV。その流れに乗りたいと
畠山吉宏調教師が語る
ウインブライトも、これから実績を積み重ねることが期待される明け4歳馬である。加えて舞台はGII
スプリングSを制した中山千八。ゆえに先週までは不動の本命馬と見ていたが…。
「まだ馬体的に未完成なのかな。負荷をかけた1週前追い切りの後、その反動が出ました。日に日に回復しているし、当週を控えめにするのも予定通りなんだけど…。当日までにどれだけ戻るかがカギ」と、週をまたぐと畠山師は思案顔。春まだ遠い今週の東西重賞…仕上がりを見抜く目が最大限に問われそうな雲行きである。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ