GI昇格2年目になり、今年も好メンバーが揃った
大阪杯。そんな
大阪杯について、2人のプロに“前哨戦レベル”という切り口で語ってもらった。まず口火を切ったのは、「万哲」の異名をとるスポニチ・小田哲也記者だ。
「メンバーを考えれば、
金鯱賞を高評価。超スローで2着に逃げ残った
サトノノブレス(8番人気)が昨年国内で稼働しなかったぶん、人気の死角になったが、重賞4勝で中京も得意にしていた。
スワーヴリチャードは向正面で一度エンジンを噴かして2番手に押し上げ、キッチリ差し切る味な競馬。阪神内回りの短い直線を意識した“好位差し”を決め、数字以上の価値がある。対して
凱旋門賞以来の
サトノダイヤモンドは、最速上がり3Fで底力は示した。GI常連で格好の物差しとなる
ヤマカツエース(4着)は引き離し、本番への視界は良好だ」
と、
金鯱賞のメンバー構成を判断したうえで、そこでキッチリ勝利をモノにした
スワーヴリチャードに高い評価を与えた。ただし、「GI直行組を除けば、前哨戦は
AJCC、
京都記念、
小倉大賞典、
中山記念、
金鯱賞。いずれもがスロー〜平均ペースで先行勢有利。超A級レースがない点はお断りしておきたい」と、前哨戦自体が総じてあまり高いレベルではなかったとも。
一方、時計を考慮すると
サトノダイヤモンドのパフォーマンスが
金鯱賞で最も際立っていたと力説するのが、
大井競馬場で長年、場立ちとして実績を築き上げてきた吉冨隆安氏だ。
「馬場の違いはあるが、
ヤマカツエースが勝利した17年
金鯱賞では前半3Fが36秒5。
スワーヴリチャードが勝利した18年
金鯱賞は前半3Fが38秒3での通過と、馬場を割り引いても重賞のペースとしては超がつくほどのスローペースだった。となれば、上がり最速の脚を使い、残り100mの地点からの伸び脚が鋭かった
サトノダイヤモンドの中心は動かない。インから伸びたスワーヴとの差を考えれば、先着していた可能性が高いと考えられる」
氏の提唱する実走着差理論では、「枠順が確定しないと正確な数値を出すことができない」としながらも、前哨戦の結果から馬の能力の素点だけを判断しても
「
中山記念1着
ウインブライト、
AJCC1着
ダンビュライトといったGI勝ちはなくても勢いのある4歳馬との比較は必要だが、
スワーヴリチャードとの対戦成績を物差しに考えれば、
サトノダイヤモンドの敵とはいえないだろう。乗り替わり、調子、枠順など気になる要素は少なくないが、本稿執筆時点では
サトノダイヤモンドの力が一枚上」
と、
ジャッジに揺るぎはない。
そして最後に、それぞれ気になる穴候補となる馬を挙げてもらった。小田記者が推奨してくれたのが「例年レベルにある」という
中山記念組。
「
ウインブライトは、阪神内回り直結の好立ち回り。先行決着を考えると、4角9番手から押し上げた
ペルシアンナイトは見直し必要か。
京都記念は2着
アルアインが道悪を克服した点では価値。逆に
AJCC組は数字通り、凡戦は否めず」
逆に、穴馬は金鯱組にこそ潜んでいるというのが吉冨氏の見解だ。
「穴馬として1頭挙げるなら
メートルダール。
金鯱賞のあのペースや位置取り、直線の捌き方では競馬にならなかった。展開次第では戦える下地はあるとみている」
2人のプロが導き出した
大阪杯の最終結論とは?