それは先週水曜の朝のことでした。スタンド前の広場で
ラッキーライラックが歩いている付近に、放馬した馬が勢いよく向かってきました。幸い衝突することなく事なきを得たのですが…。
以前、
ラッキーライラックを取材したとき、「ふだんはこわがりな面がある」と陣営から聞いていましたから。放馬した馬は凄い勢いだったし、もしここで
ラッキーライラックが動揺したら!? と思うとすごくヒヤヒヤしました。
「幸いこちらが変に動かなければぶつかることはないという状況でしたから、あえてニュートラルな状態で待機させました。馬が接近したとき、
ラッキーライラックは一瞬グッと力を込めましたけど。それだけでしたね。仮に付けまわされたりしたら嫌がりますが、一瞬で抜かれる分には気にしませんから」と担当の丸内助手はその状況を振り返ります。
さらにいえば、むしろこういったハプニングを糧にしているようにさえ感じました。
「レース中には実にいろんなことが起きる。でも、調教でハプニングを教えたり、無理に作り出すことはできませんよね」
こういった状況を無事に対処することでメンタルの経験値をも上げていく。なかなか出来そうで出来ないことですね。
最近ではこのハプニングの前に、
チューリップ賞後のはじめての馬場入りの日にも別のハプニングに遭ったそうです。その日は馬場入り初日とあって、
ラッキーライラックのテンションが高まることが予想できたために陣営は注意深く馬場へ入ったのですが…。
「いつもウッドチップコースを2周まわります。馬場入り直後、
ラッキーライラックはやはりエキサイトしていましたね。そこへコーナーで放馬した馬に馬体スレスレで抜かれたんです。
そうしたら、
ラッキーライラックはやる気になってしまって。内にいたんですが、外に出して行くように促したんです。すると、比較的すぐに我に返ってくれました。
ラッキーライラックはこわがりで突っ込んでいくタイプなんです。敏感で脚も速いから、ビックリして走りだしたら一瞬速いけど、すぐに気持ちはおさまりますね。
実際さらにそのあと、向こう正面で止め際に再びその放馬した馬が接近してきたんですが、今度は別にどうってことなかったですから」
最初は驚くけど、すぐに慣れる。
ラッキーライラックは賢いですね。これからも彼女は経験を積む毎に学習し、それを糧にしていくことでしょう。
(取材・文:花岡貴子)