船橋競馬場で行われる唯一の(JBCを除く)GI、それが「
かしわ記念」。毎年ゴールデンウィーク中に行われることもあり、1年で最も船橋が熱くなるレースです。
そんな
かしわ記念を一言で表せば、まさに“ガチンコ”だということ。船橋は広く大きい
スパイラルカーブになっており、地方の競馬場の中でも走りやすい。
JRAや他地区から来るジョッキーたちも乗りやすいと話していて、枠順による大きな不利もないのが特徴。直線も308mと比較的長め(最長は大井の386m、最短は名古屋の194m)で差しも決まる形態だけに、1600mの
かしわ記念はスピードとスタミナの両方が要求されます。
データを見ると
JRA交流になった1996年以降、
JRA15勝、地方7勝。特に近10年は地方馬は11年
フリオーソの1勝のみと、馬券はどうしても
JRA馬中心になりますが、ポイントは近10年で1勝と意外と1番人気が勝たないレースであること。そしてすでにGIを勝っていた馬が8勝と強いレースであることが挙げられます。
今年は
フェブラリーS組が人気になりそうですが、一つ気に留めておくべきなのは着順に関係なく、フェブラリーで5番手以内に4コーナーを回った馬に注意が必要なこと。これはメンバーとコースの違いによるものです。今年の
フェブラリーSが前半1000m58秒3だったのに対し、昨年の
かしわ記念は同61秒5。ワンターンの
フェブラリーSとコーナー4つの
かしわ記念とではペースが全く違います。そして直線の長さも東京は501.6m。前半のペースが速く、追い込みが利くコース。これが今年の
フェブラリーSでしたが、これがそのまま
かしわ記念に当てはまるかと言えばそうではありません。
フェブラリーSを勝った
ノンコノユメは典型的な追い込み馬。実力は確かなものの、
かしわ記念の条件がいいとは言えません。また、同2着の
ゴールドドリームはゲートに不安があるタイプだけに初の船橋と久々のナイターが鍵になりそう。
これらを考えれば、今年の
かしわ記念も単純に人気通りには決まらないのではないか。そう思えてきます。(取材・文=スポーツニッポン記者・秋田麻由子)