当初からこのレースを目標にしてきたマイラータイプに加え、クラシックから転戦してきた組も加わり、今年も多士済々なメンバーで行われる
NHKマイルC。過去5年のうち4年で2ケタ人気が馬券圏内に飛び込んでくる荒れっぷりで、今年も波乱に結果になる可能性は否めない。そこで過去、数々の万馬券を仕留めてきた穴党のプロ予想家2人に、展開面から見た今年の
NHKマイルCを展望してもらった。
まずは独自のデータ&コース分析で展開を読み切り、「万券クイーン」の異名をとる山崎エリカさん。
「
NHKマイルCは3歳マイル王決定戦とはいえ、実際はクラシック戦線で通用しなかった馬が多く出走してくる舞台。ですが、早々とクラシック戦線を離脱してマイル路線に矛先を向けて来た
NZTや
アーリントンC組よりも、
桜花賞や
皐月賞組のほうが断然有利です。しかし、穴を開けているのはやはり前哨戦の
NZTや
アーリントンC組が目立ちます。そこを狙うのであれば、5年前の優勝馬
カレンブラックヒルのように、連勝馬かそれに準ずる成績の馬がベスト。一番の穴パターンは、昨年13番人気で2着した
リエノテソーロのように、長らくダート路線を使われて、近走の芝のレースで善戦してここに臨んできたタイプ。そういうタイプがいれば“買い”でいいと思います」
また
NHKマイルCの舞台である東京芝1600m戦の傾向についてうかがうと、
「東京芝1600mはストレートが長いUターンコースのため、レースが淡々としたワンペースで流れることが多く、スピードの持続性が求められます。そのなかでも末脚の持続力、メンバー最速級の後半3Fタイムで上がってこられるタイプの馬が、よく活躍しています。よって注目すべきは、着順よりもむしろメンバー最速の後半3Fをマークしているかどうか、です。馬柱を見て、そのような馬が多くいる場合は道中をいかに前の位置で運べているか、そしてその3Fの上がり最速が高速馬場でマークしたものかどうか、をチェック。つまり、前半である程度速い脚を使ってポジションを取りに行ったにもかかわらず、後半も速く上がれていれば、スピードの持続力がある証拠になります。また馬場が悪化すると、前へ行った馬が失速しやすくなるため、前がバテたところを後方から差しただけの場合が少なくありません。ですから、上がり3F の最速タイムは高速馬場でマークしたほうが信頼がおけるのです」
とのご神託。
続いて、独自の展開予想理論“Vポジション理論”を駆使し、次々を高配当を的中させている倉本匠馬氏は脚質面からメンバーを分析。
「逃げ馬は前走、重賞路線で好成績を残している
カシアスと
テトラドラクマです。どちらも絶対的に先手を取る必要性のある馬ではありませんが、折り合い面に不安があるタイプなので、譲りあったとしても多少競り合う形になるはずです。全体で見ると、3歳のマイル戦にしては差し馬が多く揃っており、先行馬は少なめですね」
と、指摘。そのうえで、展開面からは後方待機組に有利になるのでは、と予想する。
「一般的にこの時期のマイル戦は逃げ、先行馬が多く揃う傾向にあり、ペースが速くなりやすいですが、今年は例年と違って差し馬が多く、逃げ、先行馬は極端に少ないです。恐らく、展開のカギを握るのは
テトラドラクマと
カシアスで、どちらも前走もしくは過去のレースでは、とくに競り合うことなく自分のペースで走るなかで速い流れを演出しています。さらに、両者ともに折り合いに課題があるタイプで、この2頭が相当なペースで引っ張りそうです。いわゆる前の2頭がペースを速くし、後方勢が追走に苦労する縦長の競馬が確実といえます。天候や当日の馬場状態によっては『800m46秒台前半』の
ハイラップもあり得るので、展開面から見た狙い目は『差し馬>先行馬』です。また先行、差し馬問わず、瞬発力よりも速い流れが得意な馬に分があるので、そのあたりも要注意といえますね」
今年の3歳マイル路線は格たる軸馬が不在。何が勝ってもおかしくない混戦だけに、2人の最終決断に注目だ!