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精神論から勝負哲学まで語り尽くす…横山典 俺だけの感覚/トレセン発秘話

  • 2018年05月11日(金) 18時00分
 かつて長嶋茂雄は自らのバッティングを「キュッ」「パーン」など、擬音を駆使して解説したのは有名な話。天才とは「伝わりにくい研ぎ澄まされた感覚を持った人間」ではないか――。

 競馬界の「天才ジョッキー」といえば、間違いなく横山典弘(50)だろう。大逃げしたかと思えば、馬群から離れてポツンと後方待機。これまで幾度も大胆不敵な騎乗で周囲をザワつかせてきた。ヴィクトリアマイルで騎乗するミスパンテールは過去に「キレる差し脚」を披露しながら、前走の阪神牝馬Sでは一転して逃走V。果たして今回はどんな騎乗を見せてくれるのか!?

 栗東に姿を現した天才ジョッキーを直撃すると、精神論から勝負哲学まで大いに語り尽くしてくれた。「凡人」が構成すると“伝わりにくい”恐れがある。ということで以下はインタビュー形式でお届けしたい。

◇◇◇

――ヴィクトリアマイルのキーマンは間違いなく横山ジョッキー。戦術面の話を聞きたい
横山典 ハッキリ言って、俺の感覚を文字に押し込めようとしても無理だよ。言葉って便利だけど、しゃべればしゃべるほど真実から遠ざかるもの。だって君は競走馬に乗ったことがないだろ。だから伝えても限界があるし、なにせ俺自身がハッキリと伝えられない。馬にまたがったときのヒラメキだし、俺しか分からない感覚だから。

――横山さんが馬を感じるように、僕も横山さんを感じますので、お願いします
横山典 そうだね。取材って感覚より「感じよう」と思った方がいい。まず、相手は生き物ってこと。アクセルを吹かせば速く進み、ブレーキを踏めば止まるってもんじゃない。だから俺は馬が語りかけてくることをストレートに感じ取る。「よく馬の言葉が分かるの?」って聞かれるけど、分からなくはないよ。

――ゲートの中で馬との会話をするのか
横山典 またいだ瞬間から始まっているんだ。馬との意思疎通は。レースだけでなく、攻め馬に乗ったり、馬屋に行って顔をなでたりもする。その中で“馬の最大のパフォーマンスは何か”を突き詰めていく。これは他のジョッキーでも分からないと思う。俺だけの感覚だから。

――多彩な戦術はいつ、どのタイミングで決めているのか
横山典 その馬にもよるし、そのレースにもよるね。まあ、長年の勝負勘じゃないけど、体が勝手に動くんだ。無意識とはちょっと違う…。だからね、今こうやってしゃべっている自分と、レースの自分って、本当に別人なんだ。あとでリプレーを見ると「オイオイ、いいのかよ、こんな乗り方!」って怖くなる。俺、恐ろしいことやってるなって(笑い)。でもレースでは自信満々。ある意味、二重人格だよ。飲んだら三重人格になるけど(笑い)。

――なぜレースでは大胆になれるのか
横山典 馬が俺に「行きたい」とか「今、最高だぜ!」って伝えてくれるから、失敗を恐れずに乗れるんだ。今でもよく覚えているのが、ダービー(1990年)でメジロライアンが1番人気になったとき。当時はまだ20歳そこそこ。とんでもない重圧がかかっていたけど、返し馬でライアンにまたがった瞬間、あまりのデキの良さに俺の不安はすべて吹っ飛んだ。背中から「俺は絶好調! あとは邪魔するな。余計な心配するな」って語りかけてきたんだ。結局、(2着に)負けちゃったけどね。

――大胆な戦術にはリスクも伴うが、そこはどう向き合っているのか
横山典 そりゃあ、勝ちたいっていう執念だよ。リスクなんて恐れちゃいけない。どうせダメなときはクビになる。だったら後悔しない乗り方、後悔しない生き方をしたいね。馬を信じて。

――馬群から離れて後方待機。この状態をファンから何て言われているか知ってますか
横山典 ポツン騎乗だろ? 知ってるよ。あれだってリスクを考えたらやらない方がいいんだろうけど、勝つために「これしかない!」って思ってやっている。ただ結果を出さないと話にならない。だから周りにアレコレ言われても仕方ないとは思っているよ。

――今週のミスパンテールについてのお話も
横山典 なかなか気の荒い馬だから、一筋縄ではいかない。俺としては返し馬でもうちょっと穏やかな方が楽だよな。まあ、若い女と付き合うんだから仕方ないか。あとは四位が大事に乗ってくれてたってのもある。今まで昆先生がいいジョッキーを乗せてきた結果として「今」があるんだろう。まあ、クセが強い馬を乗りこなすのは楽しいし、やりがいはあるね。

――明言できないのは承知で聞きます。みんなが気になる戦法は
横山典 ハナに行くよ、大逃げ(笑い)。ハハハハ! 見出しは(東スポだから)「逃げ宣言…か?」だろ(笑い)。

――と言いながら、また逆のことを…
横山典 ハハハハ。まあ、ゲートでは“無”だろうね。俺自身もどう乗るのか楽しみだよ。

◇◇◇

 天才の研ぎ澄まされた感覚、伝えられただろうか? ゲートインが今から待ち遠しくて仕方ない。

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

東京スポーツ

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