日本ダービーは
福永祐一騎乗の
ワグネリアンが見事なV。ゴールの瞬間、当方の頭に浮かんだのは福永初騎乗の98年ダービー=
キングヘイローの姿だった。「緊張で頭が真っ白になってしまった」と振り返ったように、押し出される形で大一番にして、よもやの逃げ。従来の
スタイルを崩しての大敗(14着)には大きな非難が集まった。
だが、あれから20年。馬場や力関係を冷静に分析し、好位でしっかり折り合うさまは、まさに騎手としての成熟の証し。
オークスは1〜5着が
桜花賞組。大混戦とされたダービーも1、2着は
皐月賞組。王道こそが人馬を育てる――。それを知らしめたクラシック第2幕ではなかったか。
さて、今週は春の東京GI5連戦を締める
安田記念が行われる。デスクからは「ダービー的中の勢いで
安田記念も当てろ」との厳命が下っており、当方も気合が入るところだが…。実はこの春の古馬マイル王決定戦、混戦だった先週のダービー以上に難解だ。というのも、これぞ王道と言える明確な路線が存在しない。以下は近10年の優勝馬の
ステップである。
08、09年
ウオッカ=
ヴィクトリアマイル 10年
ショウワモダン=メイS
11年
リアルインパクト=
NHKマイルC 12年
ストロングリターン=
京王杯SC 13年
ロードカナロア=
高松宮記念 14年
ジャスタウェイ=ドバイデューティフリー
15年
モーリス、16年
ロゴタイプ=ダービー卿CT
17年
サトノアラジン=
京王杯SC 他に06年ブリッシュラック(
チャンピオンズマイル)の例もあり、その分布図は、まさに群雄割拠。ただ、謎解きのヒントは今年
レッドファルクスを送り出す
尾関知人調教師の言葉に隠されている。
「昨年の
マイルCSは馬場(稍重)も合わなかったが、本質的にス
プリンター色の濃い馬がしっかりマイルの競馬をしてしまったのが敗因。ただ、昨年の
安田記念で3着(0秒1差)に健闘できたように、東京なら可能性は広がると思うんです。象徴的なのは
ロードカナロア。京都がマイラーとしての資質を問うのに対して、東京は底力が問われる舞台。マイル経験の乏しさはGI経験で補えると思うんですよ」
様々な路線からメンバーが集うこの一番。おそらく混戦を解くカギは、ここにある。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ