延べ10週の東京連続開催が終了し、
中央競馬はいよいよ本格的なローカルモードへ突入。ふと気になり福島の週間天気予報を調べてみれば、気温は週末まで連日の30度超えである。
ミッキーロケット快勝の
宝塚記念を踏まえても「格より調子」の格言を重視すべき季節を迎えたのだろう。
「1週前の迫力ある動きを見れば、態勢はもう十分ですね。前走と同じ放牧明けでも体を減らさずに帰厩できた分、今回は調整もスムーズでしたから」
1週前の美浦でこう言って笑顔を見せたのは、
ラジオNIKKEI賞に
フィエールマンを送り出す
手塚貴久厩舎の名畑俊助手だった。同馬は新馬Vから2か月半ぶりの
山藤賞(500万下)を、出遅れながらも2馬身半差の楽勝。重賞級の素質は誰しも認めるところであり、いわゆる“遅れてきた大物”だ。
が、最大の懸念は同じくデビュー戦から特別戦を連勝した
ルヴォワールの半弟という“血筋”かもしれない。初子と2番子は未出走、3番子
ルヴォワールもいまだ3戦のキャリアしか積めていないように、一族に共通するのは“順調であることの難しさ”だ。
「
ルヴォワールは予定した
フローラSの回避がつまずきの始まりでした。それだけに“より慎重に”というのが弟のスタンス。ただ、そんな中でも少しずつしっかりしてきた感はあるんです」
名畑クンの表情が珍しく緩むのも納得。美浦南ウッド5ハロン69秒前後の追い切りをベースにしてきた同馬が、1週前にマークした数字は66秒5。強い負荷をかけられたこと自体が何より好調の証しであり、そのせいか今回は馬体のメリハリもグンと良くなっている。
「自信度?
セダブリランテスが勝った昨年は“まあ大丈夫”と思っていたけど、こちらはゲートが課題。十中八九出遅れるから、そこをどうカバーできるか」と慎重に語った手塚調教師。だが、その本音は“負けられない”だ。「ここを勝てるようなら秋は
ジャパンCが目標になるみたい」とさらなる高みを見据えるのがその証拠である。
当方は以前、姉も手がける名畑クンに「スケール感満点の
ルヴォワールの走りを見ると、ゆくゆくは
ジャパンCで走らせてみたくなるよな」とささやいたことがあったが、その夢はまず弟に託された形。むろん、現状の格はオープン勝ちある
ケイティクレバー、
メイショウテッコンが上だろう。それでも調子の良さと2キロのハンデ差で、むしろ今回は圧倒する走りを見せてくれると信じている。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ