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接戦の5歳馬2頭は歴代チャンピオン級の実力/帝王賞回顧(斎藤修)

  • 2018年06月28日(木) 18時00分
 直線半ばから一騎打ちとなった2頭は、いよいよダート2000m級の歴代チャンピオンに肩を並べるレベルに達したことを感じさせた。一方で、地方の実績馬2頭も4、5着と好走したが、そのレベルの争いになってしまうと勝ち負けまでは及ばないことも感じさせられた。

 ペースを握るのはケイティブレイブテイエムジンソクオールブラッシュのいずれかと思われ、そのとおりこの3頭が先行することになったが、1000m通過が59秒9というハイペースは想像していなかった。かかり気味に逃げたのはテイエムジンソクで、大井2000mのGI/JpnIで1000m通過が1分を切ったのは2015年の帝王賞以来のこと。このときはクリノスターオーが逃げ、クリソライトが直後で突くという展開だった。

 2010年前後、特にスマートファルコンの全盛時には1000m通過60秒前後が平均的なラップで、当時はこのレベルになると2分1〜2秒台での決着ということもめずらしくなかった。それが2016年あたりからは大井の馬場自体、時計がかかるようになり、トップクラスのレベルでも2分4〜5秒台の決着となっている。それゆえ今回は、前半59秒9、後半64秒3で、勝ちタイム2分4秒2という、かなり前掛かりのハイペースだった。

 オールブラッシュが2番手で、ケイティブレイブは3番手。向正面では逃げたテイエムジンソクから5〜6馬身ほど離れていたので、ケイティブレイブの1000m通過で61秒くらいの平均よりやや速いペース。もともと行く馬がいれば好位に控えての競馬は可能だったが、昨年の帝王賞で出遅れて終いに脚を使うレースも経験していただけに、以前より自在な競馬ができるようになった。

 ゴールドドリームは相変わらずスタートダッシュがよくない。ゲートを出るタイミングも一瞬遅れたし、すぐに巻き返せるような二の脚もない。1コーナーを7番手でまわってじわじわと位置取りを上げ、ちょうど1000mを通過するあたりでケイティブレイブの直後につけた。ケイティブレイブを相手と定めての競馬だったのだろう。

 それにしてもあの位置からレース中盤でケイティブレイブの直後につけるにはかなり脚を使っているはずで、それでいて最後にケイティブレイブをねじ伏せる余力を残していたということでは、この馬の充実ぶりがうかがえる。

 昨年の帝王賞で7着に沈んだ時は「2000mではちょっと長い」(平田修調教師)と話していたが、それを克服したことも、この馬がレベルアップしたことのひとつだろう。距離はギリギリなので最短距離を回ってきたというルメール騎手の好騎乗もあっての、クビ差先着だった。

 自分の競馬に徹したケイティブレイブも負けて強しの内容。ともに5歳なだけに、少なくとも今後1、2年は、この2頭のライバル関係が続いていくのだろう。とはいえ2頭の接点はそれほど多くはない。ゴールドドリームは1600〜1800mがベストで、2000mはギリギリ。対してケイティブレイブは地方の2000m以上が能力を発揮できる舞台。中央のダート1600、1800mでは、そもそもの能力の高さから好走は可能だろうが、ゴールドドリームと互角に渡り合うのは難しいように思う。

 8歳になったサウンドトゥルーもまだまだ衰えのないところを示した。レースがスローペースであれば早めに動いて先行勢を射程圏にとらえ、ハイペースであれば無理せず後方を追走して直線勝負。もちろん今回は後者。前半ハイペースのぶん、レースの上がりが38秒9とかかるなか、メンバー中唯一37秒台(37秒7)の末脚で前2頭との差を詰めた。とにかく大井2000mでは崩れることがなく、これで8戦して2勝、2着2回、3着3回。馬券圏内を外したのは1度だけで、それも4着だった。

 リッカルド大井記念の勝ちタイムが2分6秒2で、メンバーのレベルが上って流れに乗れば、同じ良馬場ならそこから1秒はタイムを詰められると思い、予想では▲とした。しかし予想外のハイペースになったこともあって勝ちタイムはさらに速く2分4秒2。リッカルド自身はちょうど1秒走破タイムを詰めている。

 スタート直後はテイエムジンソクを追いかけるような場面があり、外からオールブラッシュアウォーディーらが押し寄せてくると、ムキになって行きたがるような場面もあった。南関東移籍後の4戦より一気の相手強化で流れにとまどったところはあったかもしれない。それにしても直線を向いたあたりまではケイティブレイブのすぐうしろで食い下がっていた。一昨年のエルムSを勝って以降、中央ではオープン特別でも掲示板にすら届かない(今年1月に1度だけ5着があったが)という成績を続けていたが、移籍後の4連勝で相当に持ち直した。

 ヒガシウィルウィンは、大井記念では勝ったリッカルドに0秒9の差をつけられての3着だったが、今回はそのリッカルドにクビ差まで迫っての5着。今回は人気もなかったのでマイペースで気楽に乗れたこともあっただろう。3〜4コーナーでは前からはまだかなり離れた中団位置だったが、サウンドトゥルーに次ぐ38秒5の上がりで直線差を詰めてきた。

 南関東のこの2頭は、さすがに今回のようなレベルの争いになると勝ち負けまでは難しいが、GII/JpnII、GIII/ JpnIIIのレベルなら、条件や相手関係次第でチャンスはおおいにありそうだ。

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