先週の大雨から一転して、今週は日射しが強く、蒸し暑さも加わって、この季節らしい気候になっている栗東。調教開始時刻から3時間も経った8時ごろには完全に陽も昇って暑くなるため、厩舎によってはサマータイムということで、調教時間や運動時間を工夫している。
ただ、追い切りに関しては暑いからといって極端に手を緩めるようなことはなく、レース1週前はしっかり、最終追い切りは馬なりといった工夫も見られる。そんな効果が顕著で、動きがキビキビしている馬もいれば、かなりモッサリとしている馬もいて、そろそろ馬によって成績差がハッキリとしてくる季節ではないだろうか。
【坂路/4F51.9秒】
11日。数字上の一番時計は
クリノヴィグラス(栗東・湯窪幸雄厩舎)の4F50.0秒。しかしこれは放馬による時計なので、実質的な一番時計は
ケンデスティニーの4F50.9秒。この数字は先週水曜日に比べるとかなり遅いし、4F51秒台の頭数もさほど多くない。本来、この時期は基準時計よりも速い数字が出やすい馬場差になりがちだが、先週の雨の影響は残っているように思われる。
ただし、前半をゆっくり入れば、後半2Fは速い時計を出せる馬場でもある。朝一番から開門して40分近く経った時間帯に追い切った
フィールシュパース(栗東・
中竹和也厩舎)は後半2Fが24.1秒、ラスト1Fは11.8秒という伸び。昨日のJDDを完勝した
ルヴァンスレーヴ(美浦・
萩原清厩舎)の3着という実績がある馬だが、時計を出しにくい時間帯であったにもかかわらず、ここまで動くことができるのは能力だろう。
12日。一番時計は
ロジクライ(栗東・
須貝尚介厩舎)の4F49.8秒。個人的には4F時計の速さが状態の良さを物語るタイプだと感じているだけに、この時計は掛け値なしに評価してよい数字だろう。
先週5日の馬場差は「+0.5秒」。これは雨の影響を受けている状態だったので、そこからは回復傾向。今週の馬場差は11日、12日とも『±0.0秒』で記録している。
【CW/5F66.0秒】
11日。追い切りの騎乗者も走りやすいコンディションという感触があったのだろうか、朝一番から速い6F時計をマークする馬が続々。6F80秒切りの頭数はさほど多くなかったが、5F65秒を切る頭数は多く、かなり走りやすい馬場状態だったといってよいだろう。
時計は速くないが、終いの鋭さが目立ったのは
アメリカンウェイク(栗東・
斉藤崇史厩舎)。今週末デビュー予定の2歳新馬だが、3頭併せの最後方に構えて、最後は1Fだけで前を捕まえる脚力。6F時計が遅いので、調教欄だけでは目立たないが、実際の動きをVTRで確認してもらえば、その瞬発力に魅力を感じるはず。
12日。馬場状態は前日からほぼ変わっていない。別ニュースにて、
中京記念(7月22日・中京芝1600m)に向けて追い切った
フロンティア(栗東・
中内田充正厩舎)の記事を掲載しているが、それと同じ朝一番の時間帯に
中京記念へ向けて追い切ったのが
ジョーストリクトリ(栗東・
清水久詞厩舎)。
高倉稜騎手が跨っての単走だったが、向正面で少し行きたがるところを抑える場面があり、そこでラップがちぐはぐになった。しかしその分、終いまでしっかりして、時計は6F82.5〜5F68.0〜4F52.7〜3F38.1〜1F12.0秒。昨年の
NZT以降、二桁着順が続いているが、今回は以前よりも動けてきている印象を受ける。
先週5日の馬場差は「-0.2秒」。先週は雨の影響を受けていたが、今週はそれがない。よって、馬場差は『-0.6秒』で11日、12日とも記録している。
【DP/5F64.5秒・D芝/5F63.0秒】
芝馬場での追い切りは、11日に
ガリバルディ(栗東・
藤原英昭厩舎)の単走と
寺島良厩舎の併せ馬の3頭だけ。雨の影響はなかったはずだが、追い切り時の芝生は塊が飛んでおり、馬場状態はあまり良くない。よって今週の馬場差は『+0.0秒』で記録している。
ポリトラック馬場の追い切り頭数は先週とほぼ同じくらい。
荒川義之厩舎や
藤岡健一厩舎など、追い切る厩舎も限られている。今週の馬場差は11日、12日とも『+0.0秒』で記録している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。
(取材・文:井内利彰)