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遅咲きのダート短距離馬、オウケンビリーヴ/クラスターC回顧(斎藤修)

  • 2018年08月16日(木) 18時00分
 盛岡競馬場のダートは近年、乾いた良馬場でもかなり時計が出ることがある。昨年のクラスターCは稍重となってさらに時計が出て、その結果がブルドッグボスラブバレットによるクビ差の接戦でコースレコードの1分8秒8。

 今年もこの開催はかなり時計が出ていて、この日盛岡競馬場で行われていたヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンドの第1戦がクラスターCと同じダート1200mで、C1級という下級条件にもかかわらず、良馬場で1分13秒2という勝ちタイムにはちょっと驚いた。

 さすがに昨年のコースレコードをさらに更新ということはないだろうが、それでも勝ちタイムは1分9秒台前半になるだろうと思って見ていたところ、やはり。昨年のレコードにコンマ3秒と迫る1分9秒1という決着だった。

 オウケンビリーヴがそれほど仕掛けることもなくハナに立ちかけたところ、外の9番枠から主張したのがネロ。押して行ったネロが先頭に立って前の隊列が決まると流れが落ち着いた。

 スピードの出る馬場だから、落ち着いた流れに見えても、実際にラップタイムを見ると意外にタイムは出ていて前半600mが34秒3。数字だけを見れば、地方のダートということではハイペースの前潰れとなってもおかしくない。

 しかし実際には先行2頭の一騎打ちとなって、後半600mが34秒8で、勝ちタイムが1分9秒1。前後半の差はわずかコンマ5秒。スローペースというほどではないが、厳しい流れではなかった。直線、2頭が抜きつ抜かれつとなって、外のオウケンビリーヴがクビ差出たところがゴールとなった。

 勝ったオウケンビリーヴは、前走重賞初挑戦となった川崎のスパーキングレディーCは、スローで進んで早め先頭のリエノテソーロをとらえきれず2着。それがダートでは経験のなかった1600m。今回はずっと使われてきた1200mに戻って、あらためてこの距離への適性を示した。

 準オープン勝ちまでで牡馬相手ではということで、予想では軽視してしまったが、スピードの出る馬場で52kgという斤量にも助けられた。

 2014年のこのレースでは52kgの牝馬2頭で接戦という決着があって、それはちゃんと覚えていたのだが、たしかそのときも牝馬だからと軽視して、今回も同じ轍を踏んでしまった。

 オウケンビリーヴは2016年末まで芝のみを使われ2勝。年が変わった2017年からはダートに転向。ダート3勝目が今年4月の陽春Sでオープン入りとなった。そして今回が5歳での重賞初制覇。今後もダート短距離路線となるようだが、牡馬のこの路線の一線級が相手となると、さらにひとつハードルが上がる。

 7歳のネロは、これは予想の段階から言ったり書いたりしていたが、芝でもダートでも1200m以下は走る。前走1400mのさきたま杯が、先行争いが激しくなったとはいえ、3コーナー過ぎで一杯になっていたので、能力を発揮するのはやはりコーナー2つの1200m以下ということになる。

 新潟の直線も6戦して2勝2着3回だから、むしろコーナーはないか、ゆったりしたコーナーのほうがいいのかもしれない。

 地元でダートグレード初制覇が期待されたラブバレットは3着。これでクラスターCは3、3、2、3着。先行2頭の直後を楽に追走しているように見えたが、4コーナーで反応がなくなり、2着のネロから6馬身離れての3着。それでもディオスコリダーには交わされず(クビ差)、むしろよく3着に踏ん張った。

 冒頭でも触れたとおり、昨年はレコード決着にタイム差なしの2着だったから、今年はその能力が発揮できなかった。2走前の北海道スプリントCが直線一旦は先頭に立ち、完全に勝ったかと思ったところ内から差されて2着。そのピークを長く保つということも難しかったと思われる。

 ディオスコリダーは、3コーナー手前ではラブバレットとほぼ併走していたが、3コーナーから徐々に置かれてしまった。最後に差を詰めたのは、ディオスコリダーが伸びたのではなく、ラブバレットがバテたから。骨折があり8カ月休養明けという影響は少なからずあったと思われる。

 9歳のブライトラインはさらに差があっての5着。前で接戦の2頭は持てる力を発揮したが、それ以外の有力馬は最大限の力を発揮できる状態にはなかった、という結果だった。

 そしてもう1頭、6着ではあったものの、自身の能力は見せたのが北海道から遠征のメイショウアイアン。後半600mで34秒台の脚を使ったのは、1、2着馬とこの馬だけ。門別では直線一気で短距離路線の上位を賑わしているが、その持ち味をここでも発揮した。

 ただ勝ち馬から1秒6という差は、中央では準オープンで頭打ちだったという能力差だろう。

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