盛岡競馬場のダートは近年、乾いた良馬場でもかなり時計が出ることがある。昨年の
クラスターCは稍重となってさらに時計が出て、その結果が
ブルドッグボスと
ラブバレットによるクビ差の接戦でコースレコードの1分8秒8。
今年もこの開催はかなり時計が出ていて、この日
盛岡競馬場で行われていたヤングジョッキーズシリーズ・
トライアルラウンドの第1戦が
クラスターCと同じダート1200mで、C1級という下級条件にもかかわらず、良馬場で1分13秒2という勝ちタイムにはちょっと驚いた。
さすがに昨年のコースレコードをさらに更新ということはないだろうが、それでも勝ちタイムは1分9秒台前半になるだろうと思って見ていたところ、やはり。昨年のレコードにコンマ3秒と迫る1分9秒1という決着だった。
オウケンビリーヴがそれほど仕掛けることもなくハナに立ちかけたところ、外の9番枠から主張したのが
ネロ。押して行った
ネロが先頭に立って前の隊列が決まると流れが落ち着いた。
スピードの出る馬場だから、落ち着いた流れに見えても、実際にラップタイムを見ると意外にタイムは出ていて前半600mが34秒3。数字だけを見れば、地方のダートということではハイペースの前潰れとなってもおかしくない。
しかし実際には先行2頭の一騎打ちとなって、後半600mが34秒8で、勝ちタイムが1分9秒1。前後半の差はわずかコンマ5秒。スローペースというほどではないが、厳しい流れではなかった。直線、2頭が抜きつ抜かれつとなって、外の
オウケンビリーヴがクビ差出たところがゴールとなった。
勝った
オウケンビリーヴは、前走重賞初挑戦となった川崎のスパー
キングレディーCは、スローで進んで早め先頭の
リエノテソーロをとらえきれず2着。それがダートでは経験のなかった1600m。今回はずっと使われてきた1200mに戻って、あらためてこの距離への適性を示した。
準オープン勝ちまでで牡馬相手ではということで、予想では軽視してしまったが、スピードの出る馬場で52kgという斤量にも助けられた。
2014年のこのレースでは52kgの牝馬2頭で接戦という決着があって、それはちゃんと覚えていたのだが、たしかそのときも牝馬だからと軽視して、今回も同じ轍を踏んでしまった。
オウケンビリーヴは2016年末まで芝のみを使われ2勝。年が変わった2017年からはダートに転向。ダート3勝目が今年4月の
陽春Sでオープン入りとなった。そして今回が5歳での重賞初制覇。今後もダート短距離路線となるようだが、牡馬のこの路線の一線級が相手となると、さらにひとつハードルが上がる。
7歳の
ネロは、これは予想の段階から言ったり書いたりしていたが、芝でもダートでも1200m以下は走る。前走1400mの
さきたま杯が、先行争いが激しくなったとはいえ、3コーナー過ぎで一杯になっていたので、能力を発揮するのはやはりコーナー2つの1200m以下ということになる。
新潟の直線も6戦して2勝2着3回だから、むしろコーナーはないか、ゆったりしたコーナーのほうがいいのかもしれない。
地元でダート
グレード初制覇が期待された
ラブバレットは3着。これで
クラスターCは3、3、2、3着。先行2頭の直後を楽に追走しているように見えたが、4コーナーで反応がなくなり、2着の
ネロから6馬身離れての3着。それでも
ディオスコリダーには交わされず(クビ差)、むしろよく3着に踏ん張った。
冒頭でも触れたとおり、昨年はレコード決着にタイム差なしの2着だったから、今年はその能力が発揮できなかった。2走前の
北海道スプリントCが直線一旦は先頭に立ち、完全に勝ったかと思ったところ内から差されて2着。その
ピークを長く保つということも難しかったと思われる。
ディオスコリダーは、3コーナー手前では
ラブバレットとほぼ併走していたが、3コーナーから徐々に置かれてしまった。最後に差を詰めたのは、
ディオスコリダーが伸びたのではなく、
ラブバレットがバテたから。骨折があり8カ月休養明けという影響は少なからずあったと思われる。
9歳の
ブライトラインはさらに差があっての5着。前で接戦の2頭は持てる力を発揮したが、それ以外の有力馬は最大限の力を発揮できる状態にはなかった、という結果だった。
そしてもう1頭、6着ではあったものの、自身の能力は見せたのが北海道から遠征の
メイショウアイアン。後半600mで34秒台の脚を使ったのは、1、2着馬とこの馬だけ。門別では直線一気で短距離路線の上位を賑わしているが、その持ち味をここでも発揮した。
ただ勝ち馬から1秒6という差は、中央では準オープンで頭打ちだったという能力差だろう。