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長く持つユタカ先生「いろいろ試して得た感覚」短く持ってジワーッと伸ばす藤岡佑介/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年08月31日(金) 18時00分
 先週、日本人でいち早く短い手綱の騎乗スタイルを取り入れた福永祐一の「手綱理論」をたっぷりと紹介した。おさらいすると「日本人は外国人より手綱が長い」「短く持って馬を抱えれば脚はたまる」「長く持ってハミを外す技術は必要ない」という持論だ。さらには「外国人で一番短い」モレイラの強さの秘密も教えてくれた。

 さすが理論派!という名解説であったが、これはあくまで福永が長年の経験で培った見解。まるで「短いのが善、長いのが悪」のような伝わり方になっていないか不安に感じたので、今回は対極の意見も紹介すべく引き続き複数のジョッキーを取材。長手綱の話を中心にお届けする。

 では、最初に誰に話を聞くべきか…いや、迷うまでもない。JRA通算4000勝を目前にした日本のレジェンド・武豊しかいない。短い手綱の優位性を主張する福永でさえ「ユタカさんはかかっていく馬に対するアプローチとして、長手綱でハミを外すやり方にすごくたけた人」と舌を巻く。栗東に足を運び、長手綱の名手に話を聞いた。

 開口一番、武豊は「僕って長いでしょ? ちょっと今、わざと長くしている部分もあるんですよ」と明かした。福永の手綱理論をぶつけると…。

「確かにユーイチはそっち(短い手綱)ですね。でも、僕は馬の口にあまりハミを当てたくない方なんです。だから手綱もプラッとさせたい。日本の馬って勝手に進んでいくことが多いので、手綱が長い方がいい面もあるんですよ。まあ、今までいろいろ試して、もちろん短い手綱もやりました。(長手綱は)その中で自分が得た感覚なんです。“あれ、この長さの方が走るぞ”とか“こう持った方が動く気がするな”とか経験しながらね。短い手綱は自分には合わないし、乗りづらく感じるんです」

 先週のコラムで四位洋文蛯名正義も言っていたように、武豊も「それぞれ乗り方が違うし、体のバランスの取り方も違う。本当にいろんなジョッキーがいるので、こればっかりは正解はないと思いますよ」と主張。ちなみにモレイラも「僕は手が長いけど、人によって体形も違うので正しい手綱の長さはないです」と語っていた。実は福永自身も「スタートの出が速いのでダートの短距離戦のときは長めにしていますよ」と“条件付き”で長手綱のメリットを口にしている。

 興味深かったのは「僕は長い方かな」と言う藤岡佑介の手綱さばきだ。

「手綱を詰めると馬の口に刺激を与えてしまうので、敏感な馬は初めに短く持ってジワーッと伸ばして微調整していきます。魚釣りのリールと一緒ですよ。巻くときは動きが大きいけど、伸ばすときはスーッと緩めればいいだけなので」

 なるほど、これは非常に分かりやすい!

 ところで、なぜ日本人は長手綱が多くなったのか? 蛯名が説得力ある“仮説”を展開した。

「日本はパドックから馬場入りと、レースまでの時間が外国より長い。向こうは出ていってすぐにレースだからね。馬をリラックスさせる時間が長い文化があるからじゃないですかね」

 以前、田辺裕信は「日本の馬って海外に比べて神経質。いつもイライラしている感じ」と口にしていたが、それも関係しているのか…。

 2週にわたった「手綱論争」。最終的に明確な答えは出なかったが、取材の最後に武豊は「騎手の乗り方とかもっとよく見てもらえれば、競馬はより面白くなりますよ」とニッコリ。今後もジョッキーの一挙手一投足に着目していきたい。

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

東京スポーツ

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