果たしてどこまで強いのか――。
セントライト記念の焦点はこの一語に尽きようか。主役は骨折で春のクラシックを棒に振った
レイエンダ。3戦3勝の無敗実績に加えてダービー馬
レイデオロの全弟たる血統背景が、スーパーホース誕生の期待を高めている。もっとも実績はまだ1000万下を勝ったばかり。
皐月賞11着
ケイティクレバーが1600万下(
日本海S)2着だから、素質馬が揃う今回が真価を問う正念場だろう。
「(ダービー5着の)
ブラストワンピースが
新潟記念であんな強い勝ち方をしたんだからね。こっちもダービー3着に恥じない走りをしないとな」
コズミックフォースを送り出す
国枝栄調教師のこの言葉は、人気を集める
レイエンダへの宣戦布告にも聞こえる。昨秋は現4歳のダービー経験馬が古馬を次々撃破し最強世代と称されたが、近年はクラシック路線を歩むことが無類の経験値となる。その意味でダービー出走馬が参戦するこの一戦、秋の競馬シーンを占う舞台であるのだが…。
「勝ってほしいような、勝ってほしくないような…。微妙な一戦だねぇ」
実はこんな不届き? な声が
コズミック陣営から聞こえている。声の主は番頭格の佐藤勝美助手。その真意とは?
「
アーモンドアイは別格としても、牡馬でデビュー当初に最大級の期待をかけたのがこの馬。だからダービー3着(16番人気)がフロックとは思わないし、あれくらい力はあると踏んでいた。だから逆に解せないのは、過去6戦で唯一、崩れた
すみれS(5着)。その敗因を分析すれば、重賞好走(
京成杯2着)後の輸送(阪神)競馬という答えが浮かんでくるから悩ましいんだ」
その
すみれSは馬体重12キロ減での出走。数字は消耗度を如実に示すが、長距離輸送のみが原因と同助手は捉えていない。
「競馬に行けば目一杯走る真面目な気性。対照的に体がきゃしゃで、レースのダメージをすぐに回復する体力が当時はついていなかった。それに輸送が重なり反動が出たというのがオレの見立て。だから
菊花賞を狙う意味で、輸送前の今回はソコソコでいいのかなと(笑)」
とはいえ放牧明けでフレッシュな今回こそが、実は大いなる馬券の狙い目。むろん「体がひと回り大きくなり、中身もしっかりした」(国枝師)とあれば
菊花賞もチャンスがありそうだが…。
まずはダービー3着馬が“どこまで強いか”をしっかり見極めてみたい。
(美浦の宴会野郎・山村隆司)
東京スポーツ