昨年のダービー馬
レイデオロ、同世代の
皐月賞馬
アルアインら12頭が出走する第64回
オールカマーのゲートがあいた。
1枠1番を引いた
北村友一の
アルアインが好スタートを切り、馬なりで先頭に立った。が、4番枠の
マイネルミラノが激しく追われて外から並びかけてくると、正面スタンド前でハナを譲り、2番手で1コーナーへと入って行く。
「道中は気分よく走っていました」と北村が振り返ったように、気持ちよさそうに四肢を伸ばしている。
1番人気に支持された
レイデオロもまずまずのスタートを切り、ゲートを出たなりで中団につけた。「調教ではまだ100%ではないと感じましたが、すごくいい馬なので自信があった」と鞍上の
クリストフ・ルメール。脚を溜めさえすれば最後は必ず伸びる、という、騎乗馬に対する信頼が伝わってくる位置取りだ。
12頭は2コーナーを回りながら外回りコースに出た。先頭の
マイネルミラノは1000mを1分0秒5で通過した。
アルアインはその3馬身ほど後ろ。単独でハナを切っているような展開だ。
レイデオロは、その5、6馬身後ろで折り合いをつけている。すぐ前の内には、
武豊が手綱をとる2番人気の
ダンビュライトがいる。ラ
イバルの動きを見ながら仕掛けどころを決められる、絶好のポジションと言える。
3コーナーを回りながらラスト600mを切ったあたりで、馬群が凝縮しはじめた。
それでも、逃げる
マイネルミラノから離れた2番手が
アルアイン、という構図は変わらない。
4コーナーに入ると、
レイデオロに乗るルメールの手の動きが大きくなった。
アルアインのほうが楽な手応えに見える。ラスト400m地点でも、北村は手綱を持ったままだ。
アルアインが直線入口で先頭に躍り出た。
外から
ガンコ、
エアアンセムらが差を詰めてくる。それらの内から
レイデオロが脚を伸ばす。勢いではずば抜けている。が、問題は、前を行く
アルアインの内と外のどちらに進路をとるか、だ。
ラスト200m。ルメールは迷わず
レイデオロを
アルアインの内に誘導した。
アルアインの北村は左鞭を入れて併せ馬の形にしようとしたが、2頭が並走したのはほんの一瞬だった。「ラスト100mは彼の能力を出せました」と言ったルメールの
レイデオロが力強く抜け出し、先頭でゴールを駆け抜けた。
勝ちタイムは2分11秒2。
クビ差の2着は
アルアイン、そこから3馬身遅れた3着は
ダンビュライト。戦前に三強と目されていた4歳勢が3着までを占めた。
「最後の坂の苦しいところで脚色が鈍りました」と言った北村は、何度も左鞭を入れて修正しようとしたのだが、
アルアインは左、つまり外に張り出そうとした。そこをルメールに突かれた格好になった。
アルアインは
皐月賞のゴールでも、今日と同じコースでルメールが乗った
セントライト記念(2着)でも、また、今年の
京都記念(2着)の直線でも、外に張り出すところを見せていた。
ラ
イバルの癖を利用して進路を確保した、ルメールの冷静な騎乗が光った。それ以上に、彼が「まだトップコンディションではない」と言った状態でありながら素晴らしい走りを見せた
レイデオロの強さを讃えたい。
(文:島田明宏)