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【スプリンターズS 勝負の分かれ目】ファインニードルが力を出せる形を整えた川田騎手

  • 2018年09月30日(日) 19時10分
 前のレースの出走馬がパドックに出たころから降りはじめた雨は、第52回スプリンターズステークスのファンファーレが鳴るころには小降りになっていた。

 馬場状態は午前中の重から稍重発表に変わっていたが、それでも、水を含んで力のいるコンディションだったことに変わりはない。

 ゲートがあくと、3番枠から出たワンスインナムーンがハナを切った。「スタートがよければ行ってもいいと思っていた」と言う和田竜二ラブカンプーが2番手、ジョアンモレイラのナックビーナスが3番手につけた。

 武豊ラインスピリット池添謙一セイウンコウセイらがつづく。

 1番人気に支持された川田将雅ファインニードルは先頭から10馬身近く離れた中団の外目につけた。

「思いのほか流れなかった。外の先行馬たちを行かせてスムーズにやり過ごすことはできたのですが、ほしいポジションをアレスバローズに先にとられてしまった。そのぶん、思っていたより少し外を回る形になりました」と川田。

 3、4コーナーを回りながら、川田はファインニードルアレスバローズの外に持ち出した。14着に終わったアレスバローズ藤岡佑介は「4コーナーで馬場に脚をとられた。もう少しいい馬場なら違う結果になっていたかもしれません」と振り返った。

 だが、手応えが今ひとつだったのはファインニードルも同じだった。管理する高橋義忠調教師は「3コーナーで騎手の手が動いたときは『ん?』と思いました」と言い、川田も「4コーナーの手応えはあまりいい雰囲気ではなかった」と話す。

 ワンスインナムーンが先頭をキープしたまま直線に向いた。

 外からラブカンプーナックビーナスらがかわしにかかる。その直後ではラインスピリットが隙間があくのを待っている。

 それらの争いを横目に、さらに外からファインニードルが凄まじい脚で伸びてきた。

「直線に向いて、前との距離を確認し、ゴールまではつかまえてくれるだろうと思いました」と川田は勝利を確信した。

 ゴールまでのラスト2完歩で並びかけ、最後の1完歩で差し切った。

 2着ラブカンプーとは首差だったが「着差はわずかでも、勝ち切るところがこの馬のすごいところだと思います」と川田は誇らしげに語った。

 道中、思いどおりに行かなかったところはあっても、力を出せる形を整えさえすれば勝ってくれる−−そうした騎乗馬に対する強い信頼が感じられるレースだった。

(文:島田明宏)

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