眩い陽差しのなか、第53回
京都大賞典のゲートがあいた。
出走馬11頭は横一列のスタートを切った。
プラチナムバレットが抜け出しかけたが、それをスタンド前で
ウインテンダネスがかわしてハナに立った。
福永祐一が騎乗する1番人気の
シュヴァルグランは中団。
その直後に初騎乗の
川田将雅を背にした
サトノダイヤモンドがつけている。本命馬をぴったりマークする形になったわけだが、川田としては「初めて乗るので、ダイヤモンドが選んだ位置でレースを進めた」という。
1、2コーナーを回りながら、
ウインテンダネスが後続との差をどんどん広げ、向こう正面入口では2番手に10馬身ほどの差をつけていた。1000m通過は1分01秒2。2番手以下はこれより1秒半から2秒ほど遅いので、流れはスローと言える。
しびれを切らした
スマートレイアーが3コーナーで単独2番手に上がり、先頭との差を詰めて行く。
ラスト600m地点を通過。
スマートレイアーの外に出した
シュヴァルグランに
サトノダイヤモンドが並びかけ、直線へ。
まだ
ウインテンダネスが先頭で2馬身ほどのリードを保っている。
その外から
スマートレイアー、
シュヴァルグラン、
サトノダイヤモンドが並んでかわしにかかる。が、それら3頭が横並びになったのは、ほんの一瞬だった。
川田の
ゴーサインを受けた
サトノダイヤモンドが鋭く反応し、ラスト200m手前で体ひとつ抜け出した。
「手応えがよかったので早めに動く形になりましたが、強気に押し切ろうと思いました」
そう話した川田の気持ちが乗り移ったかのように、
サトノダイヤモンドが豪快に末脚を伸ばす。
レッドジェノヴァが猛然と追い上げてくるが、抜かせない。
サトノダイヤモンドが先頭でゴールを駆け抜け、昨年の
阪神大賞典以来、約1年7カ月ぶりとなる勝利を挙げた。
半馬身差の2着は
レッドジェノヴァ、そこから1馬身3/4遅れた3着は
アルバート。
1番人気の
シュヴァルグランはさらに1馬身遅れた4着に終わった。
「いい感じでしたが、マークされてキツい形でもあった」と福永が振り返ったように、川田が馬本位で選んだ位置取りが、勝利を近づける戦術としても機能した。
馬本位で強気の騎乗が、
グランプリホースの闘志に火をつけ、鮮やかな復活劇を演出した。
(文:島田明宏)