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【秋華賞】わずか7cm差の大接戦を制したジェンティルドンナ/プレイバック・牝馬三冠挑戦記

  • 2018年10月12日(金) 19時15分
 牝馬三冠なるかに注目が集まる、今年の秋華賞アーモンドアイ(牝3、美浦・国枝栄厩舎)が勝利すれば史上5頭目の快挙だが、その前に達成したのが2012年のジェンティルドンナである。「平成」に牝馬三冠を達成した3頭を振り返る、牝馬三冠挑戦記。今回はジェンティルドンナを取り上げる。

■激闘の末、掴んだ史上4頭目の牝馬三冠

 ジェンティルドンナの春のハイライトオークスだろう。着差は5馬身、レースレコードを1.7秒更新する圧巻の走りを見せたのだ。直線ではケタ違いの末脚を繰り出し、残り200mで先頭に立つと後続を突き放した。代打騎乗の川田将雅騎手は「本当に強い。この馬のいいところは、乗りやすさと切れ味。ぜひ三冠へ、このまま無事に行ってほしい」と絶賛した。この勝利で三冠達成は大きく近づいた。

 秋緒戦のローズSも危なげない勝ちっぷりだった。しかも、春二冠とは異なり2番手からの抜け出しだった。秋華賞の舞台となる京都内回り2000mは先行有利。だから、本番を見据えて“前”の競馬を試したのだ。「どんな競馬でもできることを証明したい」という岩田康誠騎手の狙いは成功し、三冠獲りへ向けて盤石の態勢を整えた。

 だが、三冠はそう簡単ではなかった。まず本馬場入場後、大歓声に驚いたジェンティルドンナが岩田騎手を振り落とす。ただ、岩田騎手が手綱を離さなかったので放馬することはなく、再騎乗して返し馬へ向かった。

 レースはヴィルシーナの先行策で幕を開け、ジェンティルドンナは中団後方の外を進む。流れが落ち着いたように見られた800m過ぎ、チェリーメドゥーサが一気のまくりで先頭に立ち、後続を大きく離して逃げる。直線を向いても6馬身ほどの差があったが、4コーナーからスパートしたジェンティルドンナが外から猛追し先頭へ。しかしその瞬間、2番手を追走していたヴィルシーナが内から馬体を併せ、2頭が並んでゴール板を駆け抜けた。

 写真判定にもつれ込む大接戦は、わずか7cm差。勝利の女神はジェンティルドンナに微笑んだ。レース後、「道中は外々を回らされる形になり少し馬が怒っていたが、オークスだけの脚を使えると能力を信じて乗った。抜け出して遊ぶところがあったし、ヴィルシーナもすごい能力を持った馬なので最後まで気は抜けなかった」と激戦を振り返った岩田騎手だが、確定前に勝利を確信していたようだ。レースを終え検量室前に戻ってくると、1着の枠場にジェンティルドンナを導き喜びを爆発させていたのである。また、秋華賞前にはこんなことも言っていたという。「たぶん同じ3歳世代なら牡馬にも負けませんよ。もしかするとジャパンカップでもいい勝負をするかもしれない。それくらいの器の馬です」と。

 ジェンティルドンナの父はディープインパクト秋華賞の勝利で、史上4頭目の牝馬三冠と同時に史上初の親子三冠馬が誕生した。

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