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オールフォーラヴ 誰よりも現場を知る男・幸の戦略「何かが起こるかも」/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年10月12日(金) 18時00分
「おまいつ」というアイドルオタク用語がある。「おまえ、いつもいるな」の略で、イベントや握手会に必ず来る常連ファンを指すそうだ。競馬界では幸英明こそ「おまいつジョッキー」と呼ぶにふさわしい。

 2010年にJRA史上初の年間1000回騎乗を達成。12年の1081回騎乗の記録はいまだ破られておらず、今年も758回と“騎乗回数リーディング”を突っ走っている。どんな馬でも“騎乗依頼があれば断らない”が彼のポリシー。実際、出馬表を見ると「おまえ、いつもいるな」と言いたくなるほど「幸」の名前はほぼ毎回、馬柱に載っている。

「もともと僕は数を乗ってこそって考えです。とりあえず馬に乗らないことには始まらない。多く乗れば必然的に勝つチャンスも増えますから。たとえ走らない馬でも“乗せてください”って言いますね」

 芸人が場数を踏んで腕を磨くように、馬に乗る機会が多ければ、思わぬ僥倖だって訪れる。これまで4頭しかいない「牝馬3冠」の名誉を手にしたのは03年のこと。スティルインラブとのコンビで桜花賞オークスを連勝したが、前哨戦ローズSで5着に敗れていた。

「あの敗戦で秋華賞では1番人気がアドマイヤグルーヴにいった。だからプレッシャーはなかったですね」。秋華賞を制して3冠達成。27歳の秋だった。

 あれから15年。今度は史上5頭目の牝馬3冠を目指すアーモンドアイに挑む立場となった。が、彼は「競馬は何があるか分かりません」と冷静に戦況を見据えている。

 パートナーのオールフォーラヴとは今回が初コンビ。「先入観を持たないのがプラスに働くこともあります」と、まずはテン乗りの不安を一蹴。昨年の高松宮記念Vも代打騎乗(セイウンコウセイ)なら説得力アリだ。さらに彼の頭脳に詰まった膨大な騎乗データは「京都内回り2000メートル」という舞台が生み出す“紛れ”こそがアーモンドアイの死角…という答えをはじき出した。

「ああいう強い馬が一番、嫌がるのは(馬群の)中でモマれて動けなくなること。だから、こっちは動きたいときにいつでも動ける位置を取りにいくことが大事。ゆっくり構えていたらダメなコース。スタートしてから1、2コーナーまで、いかにスムーズに運んで、いいポジションを取るか。とにかくアーモンドアイより前で競馬をするのが絶対条件。そうすれば何かが起こるかもしれない。不利を受ける可能性もあるし、ゲートでつまずくこともありますから」

 あの名牝ブエナビスタ(09年)が差し届かず、女傑ジェンティルドンナ(12年)だって苦戦を強いられた。3連単1000万円超えとなった08年の秋華賞などは究極の“紛れ”だろう。

「僕にはアピールできる持ち味はないですね。たまに“儲けさせてもらってます”って言われますが、そういう方は僕が人気ない時に買い、人気ある時に外しているようで…。つまり僕は本命党にはオススメできないジョッキーです(笑い)」

 それなら決まった! 100円台のガチガチの単勝にかけるより、幸英明のロマンに乗ろう。8番人気のジュールポレールで穴をあけた今春のヴィクトリアマイルの再現を願って…。

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

東京スポーツ

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