間もなく幕を開ける今年の
菊花賞。最小キャリアは
菊花賞が4戦目の
フィエールマンで、デビューは3歳1月である。2014年に勝ったのはキャリア7戦目、3歳5月にデビューした究極の上がり馬だった。「平成乱菊列伝」、今回は
トーホウジャッカルをお届けする。
■記録づくしの
菊花賞 ワンアンドオンリーが勝利を飾った
日本ダービーの前日、
トーホウジャッカルは3歳未勝利戦でデビューした(10着)。その後、7、8月に連勝し9月には古馬相手の1000万下特別で2着。春のクラシックを賑わせた馬たちが休養するなか、キャリアを重ね成長し続けた。
中2週で挑んだ
神戸新聞杯は、直線で前をカットされる不利を受けたが、勝った
ワンアンドオンリーとタイム差なしの3着に食い込む。「距離延長にも対応し、先につながるレースができたと思う。この相手でも能力が通用することを証明できた」とはレース後の
酒井学騎手。ダービー馬と互角に戦えたことで、
菊花賞への手ごたえを感じたようだ。
中間の調教も、1週前は4F51秒台、最終追い切りは終い重点ながら4F54.0秒7-1F11.9秒を余力残しで叩き出した。追い切りに跨った酒井騎手も「脚が飛んでいってしまうんじゃないかと思うぐらいのすごい動きだった」というほど、陣営も完璧に仕上げた。
菊花賞は
ワンアンドオンリーが1番人気となるが、上位人気4頭が10倍以内という混戦。
トーホウジャッカルは3番人気に支持された。
2番枠から出た
トーホウジャッカルは、すぐに折り合い5番手の内をロスなく進む。
ワンアンドオンリーは出負けしたものの、二の脚で挽回し中団の外を追走する。前半1000m通過は60.9秒、その後も淡々とした流れで向正面へ。2度目の坂を上がると前の馬が動き出す。
トーホウジャッカルも4コーナー手前からスパートを開始。スムーズに外に出されると位置を上げ、直線入り口で先頭に立つ。残り200m、内ラチ沿いを突いた4番人気の
サウンズオブアースが
トーホウジャッカルに並びかける。すると「
サウンズオブアースが来るともう一回伸びてくれた」(酒井騎手)。
トーホウジャッカルは最後まで交わされることなく先頭でゴールを駆け抜けた。半馬身差の勝利だった。二冠制覇を狙った1番人気
ワンアンドオンリーは最後の直線で失速し9着、2番人気の
トゥザワールドは16着に終わった。
驚異の成長力を見せた
トーホウジャッカルは、デビューから史上最速の149日で見事に菊の大輪を咲かせた。また、走破タイムの3:01.0は従来の日本レコードを1.5秒も更新するタイム。そして、「(金曜発売の段階で)1番人気にもなっていたし、たくさんの支持に応えられて嬉しいです」という酒井騎手は、デビュー17年目で初のクラシック制覇、
谷潔調教師は開業20年目でのGI初勝利、馬主も生産者も初のGI勝利。陣営は記録づくしの喜びに沸いた。