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京都外回りの名手が語る 菊花賞の最重要ポイント/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年10月19日(金) 18時00分
 当コラムではたびたびジョッキーのコース適性を取り上げてきた。今週は菊花賞の舞台となる「京都外回り」にスポットを当ててみたい。通称“淀の坂”は内回りよりアップダウンが激しく、トリッキーなコースとして知られる。特に菊花賞は「3歳馬が初めて経験する長距離(3000メートル)」という要素も加わり、難解さは倍増。裏を返せば、いくらでも「工夫」ができ、乗り役の腕やアイデアが問われることになる。

 そこで京都外回りの過去3年の騎乗成績を調べてみた。まず着目したのは100戦以上も走って単勝、複勝回収率とも100%を超える藤岡佑介だ。さっそくポイントを聞いてみた。

菊花賞は3歳同士という理由で使っている場合が多いので、道中でかかる馬が結構います。そうなるとガマンしなければいけないわけですが、ジョッキー心理としては、かかっているからといって(手綱を)放したらチャンスがなくなる。普通のレースなら途中で大きく番手を上げても残れる場合もありますが、中距離に適性のある馬が多い菊花賞ではそうはいかない。だから、みんな“誰か早く行ってくれよ”って思いながら、葛藤しているんです。行っちゃったら勝つ可能性が限りなく低くなりますから」

 そう言う藤岡佑だが、クリンチャーに騎乗した昨年は果敢に攻めていっての2着。それは「スタミナ」の絶対的な裏付けがあったからだという。

「常識的にはあんな追い上げ方は考えにくい。実際、レース後にクリストフ(ルメール)に“なんでもっとガマンしなかったの?”って言われました。道中でもうちょっとガマンして脚をためていれば、最後にもう少し脚を使えたって思う人もいるでしょうね。でもスタミナに強みがある馬だからこそ、ああいう競馬ができたんですよ」

 他にも藤岡佑はスタートの大事さを強調する。

「短距離に比べてスタートはゆっくりでも…と思われがちですが、京都3000メートルはスタートしてすぐコーナーに入る。だから最初に取ったポジションが後々、すごく大事になるんです。出たなりでリラックスして、いい位置を取るためにも、好発を切れる馬は有利ですね」

 鞍上のガマン比べ、馬のスタミナ、スタート。そのあたりがポイントになりそうだ。

 一方、勝率2位のレジェンド・武豊も忘れてはならない。なにせ菊花賞4勝、天皇賞・春8勝の実績を誇る。特にファンの間で語り草になっているのは、ダンスインザダークを勝利に導いた1996年の菊花賞。内回りと外回りの合流地点の柵がない場所(直線入り口)をうまく利用して浮上した“神騎乗”は何度見てもしびれる。そのポイントを武豊にレクチャーしてもらった。

「確かにあの場所は割と内から抜けやすいですね。それにカーブが外に振られる形状になっているから結構(馬群が)広がりやすい。だから、あそこでひと呼吸ガマンすれば、バーッと(前が)開けて直線で抜けられる。逆に外を回ったら振られてしまうからね。もし早く動くなら勢いに乗せ、外に振られる前に先頭に立つこと。待つか、行くか。どっちにするかがポイント。ダンスインザダークの時は、まさに待ったケースでしたね」

 今回は秋華賞のように「絶対的な馬」がいないうえに、鞍上の力量が重要な舞台。思い切って京都巧者のジョッキーから狙ってみては?

(童顔のオッサン野郎・江川佳孝)

東京スポーツ

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