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【天皇賞・秋】“戦場を選ばない”アグネスデジタルがテイエムオペラオーを破る/平成天皇賞・秋 名勝負列伝

  • 2018年10月25日(木) 20時00分
 GIは記録達成も見どころのひとつだろう。今年、武豊騎手が勝利すれば、天皇賞・秋は最多勝タイとなる。2001年はテイエムオペラオーの天皇賞4連勝達成に注目が集まっていたが、それを1馬身差で封じたのはダートからの転戦馬だった。「平成天皇賞・秋 名勝負列伝」、今回はアグネスデジタルを振り返る。

■偉業達成を阻んだ、究極の万能ホース

 2001年は、テイエムオペラオー天皇賞・秋連覇、そして天皇賞春秋4連勝に、大きな期待がかけられていた。単勝オッズは2.1倍、支持率は4割近かった。2番人気にはそのテイエムオペラオー宝塚記念で破ったメイショウドトウ(3.4倍)、3番人気は春にドバイシーマクラシックを制したステイゴールド(4.5倍)、そしてアグネスデジタルは20.0倍の4番人気。ファンは、テイエムオペラオーの偉業達成に注目しつつ、3強の構図と見ていたのである。アグネスデジタルは前年にマイルCSを勝っていたとはいえ、春の安田記念は惨敗し、秋は地方競馬のダート交流重賞を2連勝から中2週でここへ臨んでいたのだから、評価は相応だっただろう。

 レース当日は雨が降り、馬場発表は重。馬場を問わないテイエムオペラオーにとって、さらに勝利の可能性が高まったように思われた。

 逃げると予想されたサイレントハンターの出遅れで、メイショウドトウがハナに立ちレースが進んでいく。道中は、先頭がメイショウドトウテイエムオペラオーが3番手、その内にステイゴールドが並び、アグネスデジタルは後方4番手に控える。1000m通過は62.2秒というゆったりした流れから、ほぼ一団となって4コーナーを回っていく。直線を向くと、内からステイゴールドメイショウドトウを捕らえるが、直線半ばで和田竜二騎手のムチに応えたテイエムオペラオーが一気に先頭へ躍り出る。そこへ大外からアグネスデジタルが差を詰めてくるも、テイエムオペラオーは簡単には抜かせない。テイエムオペラオーへの声援が場内に響き渡るなか、内のテイエムオペラオーと外のアグネスデジタル、離れた2頭の競り合いはゴール前まで続いたが、最後に1馬身差の先頭でゴールしたのはアグネスデジタルだった。その瞬間、場内の声援はどよめきに変わっていた。

 四位洋文騎手は「白井先生の指示もあり、馬場が悪いのでなるべく良いところを走らせた。(1〜3番人気の)3頭は強いと思っていたので、信じられない気持ち」と率直な気持ちを口にしていた。四位騎手はアグネスデジタル引退の際にも、最も思い出に残っているレースに天皇賞・秋をあげ「最後の直線ではものすごい伸び脚を見せてくれてとても驚いた」とコメントしている。テイエムオペラオーの横綱相撲とも思える直線の抜け出しを差し切った末脚は、鞍上の想像をも超えたものだったということなのだろう。

「真の勇者は戦場を選ばない」とは、JRAが制作する競走馬のポスターでアグネスデジタルにつけられたキャッチコピーである。どの馬よりも芝ダートの垣根がなかった究極の万能ホース、それがアグネスデジタルだった。

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