最後に馬場入りした
ダンビュライトがスタンド前で放馬して除外となり、第158回
天皇賞・秋は12頭による争いとなった。
ゲートがあいてすぐ、スタンドから悲鳴が上がった。1番人気の
スワーヴリチャードが立ち遅れて後方からのレースになったのだ。
「出遅れて挟まれて、気持ちが切れてしまった」と
庄野靖志調教師。
川田将雅の
キセキがハナに立った。
「前に行く馬がいなかったので、自分でレースを組み立てることにしました」
出遅れが心配されていた
クリストフ・ルメールの
レイデオロは「今日は偶数の4番だったからよかった」とルメールが言ったように、スムーズにゲートを出た。
少頭数ゆえ団子状態になることも予想されたが、馬群は比較的縦長になっている。
2番手は
北村友一の
アルアイン。
「行く馬がいなくて遅くなりすぎたら嫌だなと思っていたのですが、すごくいいペースになり、楽に運べました」
ミッキーロケットの
和田竜二が「思ったより流れた」、
マカヒキの
武豊が「ペースがゆるむところがなかった」と言った前半1000mは59秒4。超スローになる可能性もあったこの頭数にしては速かったが、このメンバーにしては遅かった、と言うべきか。
スタミナのある
菊花賞馬に乗っている川田は、いわゆるスローの瞬発力勝負ではなく、長い脚が求められる厳しい流れをつくった。それが後半1000m57秒4という数字になった。
道中、
キセキから7、8馬身離れた中団につけていた
レイデオロに関しては「いい位置にいるな」と
藤沢和雄調教師は見ていた。ルメールも同様で「ペースはちょうどよかった。
リラックスしていた。プレッシャーがなく、ずっとスムーズだった」。
キセキが先頭のまま直線に入った。
ラスト200m地点では、2馬身ほどのリードを保つ
キセキの逃げ切りか、とも思われたが、外から
レイデオロが豪快に脚を伸ばす。「長くいい脚を使って頑張ってくれた」とルメールが讃えた
レイデオロが、ジョアン・モレイラの
サングレーザーを引き連れて差し切った。勝ちタイムは1分56秒8。1馬身1/4差の2着は
サングレーザー。「ラスト200mで勝てるかなと思ったが、
レイデオロが強かった」とモレイラ。
キセキが3着、
アルアインが4着と、昨年の三冠を勝ち分けた3頭が力を見せた。同じ4歳で、モレイラが「2000mは問題ない」という
サングレーザーも今後がさらに楽しみになった。
(文:島田明宏)