京王杯2歳Sの舞台設定は東京芝1400メートル。それゆえにクラシックよりマイル路線に早々と目標を絞った馬たちが集結する傾向が色濃い。もっとも、その過程にある短距離の主戦場は、夏の北海道や福島、新潟、あるいは小倉といった主に平坦のローカル競馬場。そこで戦ってきた馬の延長線上にあるだけに、直線に坂もあって、
タフネスさが要求される舞台がレースに“隠し味”を加えている。
今年は
アスターペガサス(牡・中竹)、
ファンタジスト(牡・梅田)と夏の函館、小倉の両2歳チャンピオンがエントリー。このカテゴリーとしては好メンバーが揃った。一方で、その2頭を筆頭に有力馬の多くが関西馬なのが、早くもこの世代に「西高東低」の風をもたらす予兆なのか。美浦を拠点にしている記者としては関東馬
カルリーノ(牡・高橋裕)の走りに注目したくなる。
カルリーノを管理する高橋裕調教師は2004年に
スキップジャックで
京王杯2歳Sを制覇。当時の臨戦過程は、函館デビューから
ラベンダー賞(2着)→
函館2歳S(7着)を経てキャリア3戦での出走。2戦目の勝ち上がりながら、同じく
函館2歳S(3着)からキャリア3戦で臨む
カルリーノと酷似している。過去の実体験を踏まえ、いわば“狙い通り”の参戦なのだろう。
「(全兄の)
ディアゴッホ(ダート短距離で3勝)ほど一本調子ではなく、追って味がある。一番の長所は真面目なところかな。センスのいい立ち回りができるから、距離もマイルまでなら大丈夫だろう」
父が
マツリダゴッホでありながら、クラシック登録は最初からしていないらしく、いわば生まれながらにして、目標は短距離路線。これは函館芝1000メートルの新馬戦(1着)から、
ラベンダー賞(2着)を経て、
函館2歳S(11着)に進んだ
母アイリスモレアはもちろん、同じ高橋裕厩舎(中央所属時)の5頭の兄姉の勝ち星の大半が短距離だったことを踏まえての“決め打ち”なのだろう。ならば先々の成長うんぬんより、この早い時期にこそ勝負をかけている馬としていいのでは。
「デビュー戦(4着)は控えてしまったもので正直、脚を余しての敗戦だな(上がりはメンバー最速)。前走の
函館2歳Sだって競馬っぷりは上位2頭より良かった。今度は(
アスターペガサスに)負けないよ」と高橋裕師。その強気節に乗ってみることも考えている。
(立川敬太)
東京スポーツ