中央が舞台となっての1200mのJpnIは、やはりハイペースとなった。
マテラスカイがいればなおさらのことではあるが、その
マテラスカイは先行争いからあっさりと抜け出してペースをつくった。
マテラスカイはダート1400mの日本レコードとなった
プロキオンSのときが、最初の3Fが33秒5という猛ラップで逃げ、上りも35秒6と、あらためて見ても芝並みのタイム。とはいえそれは不良馬場。ほかに1000万条件を勝った
頌春賞でも33秒4で逃げているが、さすがに上りは37秒5もかかった。それも馬場は稍重。しかし今回、乾いた良馬場でも前半33秒7でレースを引っ張り、結果的にわずかの差で2着に敗れたとはいえ、後半36秒7で勝ち馬と同タイムの1分10秒4は、やはりGI級のハイレベルな争いだった。
そんな
マテラスカイを相手に1頭だけ離されずに直線を向いたのが
グレイスフルリープで、36秒4という上りでとらえきった。道中は終始鞍上の手が動いていたもものの、同じような位置を先行した
ウインムート、
ノブワイルドらとは明らかに行きっぷりが違っていた。さすがに最後の1Fは13秒0とかかったところを差し切ったのは、ルメール・マジックとでも言うべきか、
グレイスフルリープの8歳にしての充実ぶりとでも言うべきか、双方が噛み合っての結果なのだろう。
2着の
マテラスカイから2馬身半差があっての3着争いは、中団より後ろを追走し、35秒8〜36秒1という、それぞれ持ち味である末脚を発揮した馬たちが3〜6着に入った。仮に、さらに前半が速いペースなっていれば末脚勝負の3〜6着馬の出番となっただろうが、結果的に2着に負けはしたものの、
マテラスカイはギリギリ粘りがきくラップを刻んだことになる。そして掲示板は、順番こそ違うが1〜5番人気馬が占めたということでは、逃げ馬も末脚勝負の馬も、持てる能力は発揮した。
さらに上位3頭は、もっとも若いただ1頭の4歳馬を挟んで、メンバー中最高齢8歳の2頭が1着と3着。中央の調教師などからは、「ダートは脚元の負担が少なく、長く馬を使える」ということをよく聞くが、8歳にしての“進化”なのかどうか、
グレイスフルリープ、
キタサンミカヅキは、まさにそのような活躍を見せている。
時に凡走もある
グレイスフルリープは、昨年9月のコリアス
プリントからは1走おきに勝利。
東京盃を3着に負けたことでその流れは崩れたが、そもそも連覇がかかるコリアス
プリントがまさかの選定外となって、むしろそこを使えなかったことで、ここで状態を
ピークにもってこられたということはあったようだ。
中央ではオープン特別を1勝しただけだった
キタサンミカヅキは、船橋に移籍してJpnIIの
東京盃を連覇。のみならず、移籍後、3着以内を外したのが昨年の
JBCスプリント(5着)だけで、それにしても勝ち馬からはコンマ1秒差。不得手かもと思われた中央の舞台での3着は、傍から見れば大健闘で、地方の関係者からも「3着はよくやった」という声も聞かれた。しかし鞍上の
森泰斗騎手には悔しさしかなかったようだ。実績からすれば当然勝つつもりで臨んだレースであり、先着された2頭が、
東京盃で負かしていた相手ということなら、なおさらだ。