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進化する8歳馬がダート・スプリントの頂点に/JBCスプリント回顧(斎藤修)

  • 2018年11月05日(月) 20時35分
 中央が舞台となっての1200mのJpnIは、やはりハイペースとなった。マテラスカイがいればなおさらのことではあるが、そのマテラスカイは先行争いからあっさりと抜け出してペースをつくった。

 マテラスカイはダート1400mの日本レコードとなったプロキオンSのときが、最初の3Fが33秒5という猛ラップで逃げ、上りも35秒6と、あらためて見ても芝並みのタイム。とはいえそれは不良馬場。ほかに1000万条件を勝った頌春賞でも33秒4で逃げているが、さすがに上りは37秒5もかかった。それも馬場は稍重。しかし今回、乾いた良馬場でも前半33秒7でレースを引っ張り、結果的にわずかの差で2着に敗れたとはいえ、後半36秒7で勝ち馬と同タイムの1分10秒4は、やはりGI級のハイレベルな争いだった。

 そんなマテラスカイを相手に1頭だけ離されずに直線を向いたのがグレイスフルリープで、36秒4という上りでとらえきった。道中は終始鞍上の手が動いていたもものの、同じような位置を先行したウインムートノブワイルドらとは明らかに行きっぷりが違っていた。さすがに最後の1Fは13秒0とかかったところを差し切ったのは、ルメール・マジックとでも言うべきか、グレイスフルリープの8歳にしての充実ぶりとでも言うべきか、双方が噛み合っての結果なのだろう。

 2着のマテラスカイから2馬身半差があっての3着争いは、中団より後ろを追走し、35秒8〜36秒1という、それぞれ持ち味である末脚を発揮した馬たちが3〜6着に入った。仮に、さらに前半が速いペースなっていれば末脚勝負の3〜6着馬の出番となっただろうが、結果的に2着に負けはしたものの、マテラスカイはギリギリ粘りがきくラップを刻んだことになる。そして掲示板は、順番こそ違うが1〜5番人気馬が占めたということでは、逃げ馬も末脚勝負の馬も、持てる能力は発揮した。

 さらに上位3頭は、もっとも若いただ1頭の4歳馬を挟んで、メンバー中最高齢8歳の2頭が1着と3着。中央の調教師などからは、「ダートは脚元の負担が少なく、長く馬を使える」ということをよく聞くが、8歳にしての“進化”なのかどうか、グレイスフルリープキタサンミカヅキは、まさにそのような活躍を見せている。

 時に凡走もあるグレイスフルリープは、昨年9月のコリアスプリントからは1走おきに勝利。東京盃を3着に負けたことでその流れは崩れたが、そもそも連覇がかかるコリアスプリントがまさかの選定外となって、むしろそこを使えなかったことで、ここで状態をピークにもってこられたということはあったようだ。

 中央ではオープン特別を1勝しただけだったキタサンミカヅキは、船橋に移籍してJpnIIの東京盃を連覇。のみならず、移籍後、3着以内を外したのが昨年のJBCスプリント(5着)だけで、それにしても勝ち馬からはコンマ1秒差。不得手かもと思われた中央の舞台での3着は、傍から見れば大健闘で、地方の関係者からも「3着はよくやった」という声も聞かれた。しかし鞍上の森泰斗騎手には悔しさしかなかったようだ。実績からすれば当然勝つつもりで臨んだレースであり、先着された2頭が、東京盃で負かしていた相手ということなら、なおさらだ。

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