中央ではおそらく初めて行われる牝馬限定のダート重賞。地方のダート
グレードでは中央枠は限られるが、今回はフルゲート16頭に、地方4頭で中央は12頭。地方が舞台の牝馬ダート
グレードとは違う流れが予想された。
果たして逃げ馬3頭が互いに譲らず、これに
プリンシアコメータも釣られるように続いて、先行4頭は速かった。先行争いで2F目に10秒9があり、以降、最後の1F以外は12秒台前半のラップが続いた。平均的にレースは流れたが、息を入れるところがないペース。前4頭からやや離れた5番手集団が、結果的に最後に使える脚を残せる絶好位。そこにつけていたのが、直線一騎打ちとなった
アンジュデジールと
ラビットランだった。先行4頭が8着以下に沈んだところ、2頭の追い比べは、
ラビットランが一旦前に出る場面もあったが、
アンジュデジールが差し返してのゴールとなった。
ゴールでのアタマ差は、3カ月半ぶりの休み明けだった
ラビットランに対して、
レディスプレリュードを使われた
アンジュデジールは「状態アップを感じていた」と
横山典弘騎手。大外枠にもかかわらず、前4頭が飛ばしたためにそのうしろと馬群が別れ、そこで内に進路をとった鞍上の的確な状況判断もあった。
直線2頭の追い比べも見応えがあったが、3着に食い込んだ
ファッショニスタの直線一気も印象的だった。スタートで置かれて後方からとなったこともあるが、前2頭の上り3Fが37秒3のところ、
ファッショニスタはメンバー中最速の36秒3。今回初騎乗だったが、鞍上が
大野拓弥騎手でもあり、牝馬版
サウンドトゥルーといったところか。格付けは準オープンだが、そもそも牝馬のダート
グレードは、よほど抜けた実力の馬でもいない限り、ダートの準オープンで上位争いなら勝負になるレベル。
昨年
JBCレディスクラシックできわどい2着だった
プリンシアコメータも当時は準オープンで、その後にダート
グレード2勝を挙げている。ただ準オープン格付けの馬には、地方で行われるダート
グレードの限られた中央枠に入れるかどうかという大きな壁があることも確か。
プリンシアコメータの10着は、ゲート入りをかなり嫌がっていたので状態に問題があったのかもしれないし、前に速い馬が3頭もいて、流れにも乗れなかった。
アンジュデジールの勝利は、当日の状態、展開、鞍上の好判断、それらがうまく噛み合ってのもの。出走したほとんどの馬は能力的にそれほど差はない。牝馬ダート路線では、きっかけさえつかめればチャンスはある。