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【エリザベス女王杯 勝負の分かれ目】モレイラ・マジックで、逃げ切られて不思議ではない流れを差し切った

  • 2018年11月11日(日) 19時30分
 ほぼ横並びのスタートから、岩田康誠クロコスミアが楽な手応えでハナに立ち、単騎逃げの形に持ち込んだ。

 1000m通過は1分1秒4。クロコスミアが2番手だった昨年の1分2秒0よりは速いが、馬群は昨年ほど縦長ではない。数字以上に、ゆったりした流れになったということか。

 3コーナーでクロコスミアがリードを3馬身ほどにひろげ、下り坂を生かしてスピードに乗ったまま直線へ。ペースアップしたことで後続の瞬発力を封じ込め、ヨーイドンではない、底力の勝負に持ち込んだ。

 このまま逃げ切るかと思われたが、外からジョアン・モレイラのリスグラシューが猛然と追い込んできた。

 ラスト200m地点ではまだクロコスミアが前にいたが、勢いの差は歴然としている。

 リスグラシュークロコスミアをかわし、クビ差でフィニッシュ。

 GIで2着が4回あった実力馬が、初めてJRA・GIで頂点に立った。鞍上のモレイラにとっても、これが初めてのJRA・GI勝利となった。

「いいポジションで、手応えよく進められた。4コーナーで上手く外に出すことできて、そこからの反応がよく、ラスト300mぐらいで勝てると思いました」

 道中は中団からやや後方の馬群のなかで、掛かり気味にも見える手応えのまま脚を溜め、最後の爆発力を引き出した。

 ラスト3ハロンはメンバー最速の33秒8。これまでも、後方に待機した阪神JF、昨年のエリザベス女王杯、今年のヴィクトリアマイルなどでメンバー最速の末脚を繰り出しているが、今回は、前を5馬身ほどの射程にとらえたところから、弾けた。モレイラが「弾けさせた」と言うべきかもしれない。

 2着のクロコスミアは、単騎で逃げると本当に強い。鞍上のエスコートも完璧だった。

 そこから3馬身離れた3着が、昨年の覇者モズカッチャンだった。道中は好位の馬群のなかを抜群の手応えで進んでいたが、直線で差を詰めることはできなかった。

 その直後につけていたレッドジェノヴァが4着。これら2頭より少し前の外にいた3歳馬ノームコアは5着だった。

 みなそれなりに伸びてはいたのだが、2着のクロコスミアと同じぐらいの上がりしか使えず、かわし切れなかった。

 つまり、クロコスミアが勝っても不思議ではない流れだった、ということだ。そんななか、1頭だけ別次元の脚を使ったリスグラシューの強さと、それを引き出したモレイラの技術を讃えたい。

(文:島田明宏)

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