【東京スポーツ杯2歳S(土曜=17日、東京芝1800メートル)POGマル秘週報】
当サイト13日更新で「特注の2頭」として
ルヴォルグと
カテドラルをフィーチャーしたGIII「東京スポーツ杯2歳S」は伏兵陣も実に多彩で、今年のメンバー層の厚さを如実に表している。
昨年の
ワグネリアン(1着)を筆頭に、2016年
スワーヴリチャード(2着)、14年
サトノクラウン(1着)、13年
イスラボニータ(1着)…近5年の東スポ杯上位馬を見るとビッグネームがズラリ。ゆえに近年は“少数精鋭化傾向”にあったが…。
本来は12・16
朝日杯FS(阪神芝外1600メートル)、12・28
ホープフルS(中山芝内2000メートル)の両GIを見据えられる施行時期のうえに、力量がハッキリ出やすい東京芝1800メートルが舞台。ここで力試しをしたい馬はやはり多いのだ。
当欄はくしくも前走が同じ8月11日の、登録馬の中で最長のレース間隔となる2頭に注目した。
ホウオウサーベルは新潟芝外1800メートルでのデビュー戦が単オッズ1・4倍という圧倒的支持。あり余る前進気勢を持ちながらも、折り合いはしっかりとつき、道中3番手から楽々と3馬身半差の快勝を決めた。上がりはメンバー最速の33秒8で次位は34秒4。しかもV時計1分48秒4も、同開催の他の新馬戦2鞍(1分51秒1、1分51秒3)と大きな開きがあったのだから、その秀逸さが分かる。
奥村武調教師はそのデビュー戦を「期待通り、想像したイメージ通りの競馬だった」と振り返ったうえで、「精神的に安定しているから、普段はのんびりしていても、レースに行くと気持ちが入る。オンとオフがハッキリしているんですね。馬が自信を持っているから走ることに対して恐怖心がない」と
ホウオウサーベルの良さを説明した。
「東スポ杯のメンバーが強くなるのは分かっていたけど、(対決を)逃げちゃいけないし、しっかり見極めないと。ようやく競走馬らしい体つきになった段階だけどね。血統的な期待も含め、それだけ伸びシロは大きいし、負かす夢は持っています」
半姉には一昨年の
オークス3着馬
ビッシュがおり、昨年のセレクトセール(1歳)で
ハーツクライ産駒としては最高額タイとなる1億3500万円(税抜)で落札された良血馬。まだキャリア1戦ながら、大いなる可能性を感じさせる存在なのは間違いない。
一方、
アガラスは
ホウオウサーベルのデビュー日に、
コスモス賞(札幌芝1800メートル)に出走。単オッズ1・3倍の支持を集めながらも、
ホウオウサーベルとは逆に人気を裏切った。10頭立てとはいえ、
JRA所属馬は自身を含めわずか4頭で、うち2頭が未勝利馬。地方馬が過半数を占めたレースでの取りこぼしは致命的にも映るが…。
コスモス賞を制した
ナイママが続くGIII
札幌2歳Sで2着に好走。また新馬戦(東京芝1800メートル)の2、3、4、9着馬がその後に勝ち上がっているとなると、見限るのは早計だろう。
「デビュー戦がノーステッキでの勝利。まだムチで追われたことがなかったからか、バリバリに経験を積んでいた地方馬が相手(の
コスモス賞)ではうまく対応できなかったみたい。実質的には前走で初めて競馬ってものを経験した感じ。再び東京のこの舞台に戻って、成長した姿を見せてくれればと思っています」
古賀慎調教師の口ぶりからは仕切り直しというか、巻き返しへの手応えが伝わってくる。
実績を積み重ねてきた馬が結果を出すのか、それとも新星の一気の台頭か。いずれにせよ今週末、2歳戦線はいよいよ序章から本編へと突入する。
(立川敬太)
東京スポーツ