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【マイルCS】最強世代の最強マイラー・エアジハード/マイル春秋制覇物語

  • 2018年11月16日(金) 22時40分
 今年のマイルCSで上位人気が予想されるのは、春秋マイルGI連覇を狙うモズアスコットら4歳馬たち。現4歳馬は「最強世代」と称されることも多いが、かつて「最強世代」と呼ばれたなかからも、春秋マイルGI連覇を成し遂げた馬が誕生している。『春秋マイル連覇の名馬』、今回は1999年のエアジハードをお送りする。

■レースレコードの完勝劇で春秋マイルGI連覇を達成

 97年、2歳12月にデビューしたエアジハードが本格化したのは、翌98年の秋。900万(現在の1000万)条件から富士S(GIII)まで3連勝し、重賞初制覇を果たしたのだ。富士Sの勝利後、管理した伊藤正徳調教師は「この馬はタイキシャトルの後継馬になれる」と、前年に引退したマイル王の名を口にしたという。その後は翌春のマイルGIを視野に、休養に入った。

 99年は谷川岳S(4歳以上OP)と京王杯SC(GII)で連続2着。京王杯SCには、前年のグランプリホースで同期のグラスワンダーが、有馬記念以来の実戦として出走する。グラスワンダーには直線で一気に交わされたものの、先行勢による競り合いは制しての2着で、春の最大目標である安田記念に駒を進めた。

 安田記念は、単勝オッズ1.3倍の断然人気にグラスワンダーエアジハードは17.7倍の4番人気だった。

 ハナに立ったのはアグネスワールドで、グラスワンダーは中団、エアジハードはその後ろからレースを進める。前走の敗戦をふまえ、それまでの先行から差しに戦法を変えたのだ。3コーナー半ばからグラスワンダーが動き出すと、エアジハードもその後ろをついていく。直線を向き、馬場の真ん中からグラスワンダーが抜け出すも、外からエアジハードが馬体を寄せ並びかけた。ほぼ同時のゴールは、ハナ差でエアジハードに軍配が上がった。前走とは逆で、エアジハードグラスワンダーを差し切ったのである。グラスワンダーに勝つために取った陣営の作戦が成功し、初のGIタイトルを手にした。

 秋は毎日王冠から天皇賞、マイルCSというプランが組まれた。しかし体調が整わず、復帰は天皇賞・秋となる。ここには、スペシャルウィークセイウンスカイなど、同期のタイトルホースも出走してきた。休み明けの距離延長が初めての2000mという不安材料もあったエアジハードだったが、勝ったスペシャルウィークからクビ+3/4馬身差の3着に善戦し、本番へ向かうこととなった。

 マイルCSエアジハードが堂々の1番人気(2.2倍)、2番人気(3.8倍)は前走のスワンSを勝利したブラックホーク。ムードはこの2頭の一騎打ちだった。

 予想通り、キョウエイマーチの逃げでレースは始まり、エアジハードは中団を楽な手ごたえで追走する。直線で逃げるキョウエイマーチを捕らえ、エアジハードと一緒に伸びてきたブラックホークを振り切って抜け出すと、ゴール前で外から迫った同期のキングヘイローにも1馬身半差をつけてゴール。レースレコードの完勝だった。伊藤正師が一年前にいった通り「タイキシャトルの後継馬」として、史上4頭目の春秋マイルGI連覇を達成した。次走の香港Cは無念の直前回避となり、通算成績12戦7勝で現役を終えた。

 1995年生まれを「最強世代」「黄金世代」というファンも多い。エルコンドルパサーグラスワンダースペシャルウィークセイウンスカイアグネスワールドキングヘイローウイングアローファレノプシスなど、さまざまな舞台で活躍した個性派が揃っていた。この95年世代のマイル路線の顔として輝きを放ったのが、エアジハードだった。

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