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神秘でミラクルそれがアーモンドアイ/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2018年11月22日(木) 18時00分
「彼女は特別な馬です」

 パートナーのアーモンドアイに対して主戦クリストフ・ルメールが頻繁に用いる表現だ。ただ、何をもって「特別」かはいまだ語られず。3冠を制したからか、牝馬のカテゴリーを超える存在だからか、もしくは世界を見据える器だからか…。騎乗した者にしかわからない神秘性をそのフレーズは帯びている。が、誰もが理解できる“神秘”を先日、当方は目の当たりにした。

 ノーザンファーム天栄から帰厩した2週前のこと。それは管理する国枝栄調教師との会話から始まる。

「現時点の馬体重は何キロです?」

 ふと問いただしたのは、馬のシルエットが明らかに違ったから。むっちりと映った秋華賞時とは一転、ファンも当日のパドックで目にするであろう長距離仕様のスッキリしたボディーライン。もし短期間での劇的なスリム化が、前走後に見せた脱水症状とリンクするならヤバイ話だが…。トレーナーの返答がその仮説を完璧に否定した。

「480キロだな。秋華賞時と同じだよ」

 にわかには信じ難いが、担当の根岸真彦助手も首肯するのだから事実であろう。見た目の印象は別馬、しかし中身は何ら変わらない。いや「変わらない」は嘘だろう。ムダ肉が筋肉に変わり、それがシルエットに大差を生んでいる。あたかもピンチを迎えてギアを上げるエースピッチャーのようなしたたかな豹変ぶりである。

「昔こんなことがあったんだ。確かブラックホーク高松宮記念(01年)で2着した時かな。1週前に脚が腫れて、もう出走は無理と覚悟してた。ところが翌週の火曜に見ると、何事もなかったように脚がシャキッとしてるんだ。いやいや、なんて馬だと舌を巻いたけど、そういうミラクルホースだからこそ、ラストランの安田記念(9番人気)も勝てたんだろうね。

 そして今、常にオレたちの想像を超えてくるのがアーモンドアイ。天栄ではオークスと比べて全然疲れがなかったというし、寒い時期でも毛ヅヤは何ら落ちていない。気持ちもグンと大人びた。まあ、ミラクルだよ」

 驚きを隠さない当方に同調するように語ったのは厩舎番頭格の佐藤勝美助手。蹄のアクシデントがあった秋華賞は指揮官も認める通り「八分のデキ」。仕上がり途上の激走は、レース直後に脱水症状として反動を呼び起こしたのだが…。実にそれさえも進化の糧とするアーモンドアイはやはりミラクル、やはり特別な馬、である。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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