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着差以上に強かったデルマルーヴル/兵庫ジュニアグランプリ回顧(斎藤修)

  • 2018年11月29日(木) 18時00分
 3コーナー過ぎで6頭が一団となっての争いに絞られ、その中から直線で抜け出したのが1番人気の支持を受けたデルマルーヴル。2着のオルトグラフにつけた4馬身という差は圧巻だった。しかし道中でのレースぶりを見ると、その4馬身という着差以上に強かったことがわかる。

 まずはスタート。前走オキザリス賞でもダッシュがつかず中団からのレースを強いられたが、今回も、出遅れというほどではないもののスタートしてのダッシュがよくない。そればかりか隣のホールドユアハンドにぶつけられてかなり位置取りを下げた。それでも1コーナーまでの直線で挽回し、前で固まった6頭の直後につけた。しかし1コーナーを回るところで外に膨れぎみになり、再び先頭から差のある8番手まで位置取りを下げることとなった。

 普通の2歳馬なら、場合によってはこのあたりで走る気をなくしてしまうところだろう。このレースに出走してくる中央馬の多くはキャリアが2、3戦。それゆえここまで圧倒的なパフォーマンスをしていても、いきなりの小回りコースで、コーナーを回れなかったり、馬群に揉まれたり、さまざまな要因で人気馬が能力を発揮できずということはたびたびあった。

 しかしデルマルーヴルは、そうしたことにも動じなかったところに精神的な強さを感じさせられた。それは前走オキザリス賞での経験もプラスになっていたことだろう。前述のとおりスタートでダッシュがつかず、内枠だったことで4コーナーまでは完全に馬群に囲まれた形。直線で馬群がバラけてラチ沿いを伸びてくることができ、上り3F=35秒3で抜け出した末脚は圧巻だった。

 今回も競馬をしたのは園田の200mちょっとの短い直線だけ。先頭に立ったのは直線の半ばあたりで、やはり直線伸びてきていたオルトグラフを突き放した。3コーナー過ぎで前に固まった6頭のうち、勝ち馬を除く5頭の上りが39秒台だったのに対し、デルマルーヴルだけ38秒1という脚を使ったことでも、1頭だけ能力が抜けていたことがわかる。

 戸田博文調教師はオキザリス賞のあとは川崎の全日本2歳優駿に直行も考えたが、2勝では除外の可能性も高く、ほかに使えるようなところもないため、この兵庫ジュニアグランプリを使ったとのことだった。川崎コースのコーナーがきついのはよく知られるところで、特に2歳の交流戦では3コーナー、4コーナーをうまく回れない馬も少なくない。回りは逆だが、ここで小回りコース経験できたことは、JpnIのタイトルに向けてプラスになることは間違いない。

 2着のオルトグラフは、内枠ながら行く馬を行かせてラチ沿いでうまく立ち回った。3コーナー手前の勝負どころで外に持ち出し、直線外から差し切ろうかという正攻法。直線を向いて先頭に立ちかけたところでデルマルーヴルにあっさり交わされてしまった。これで負けたのでは、勝ち馬が強かったというしかない。

 3着に入ったデンバーテソーロは、能力は高いものの、それがまだ発揮しきれていない感じ。前走エーデルワイス賞でも流れに乗れず中団からとなって、ゴール前だけ脚を使ってわずかに届かずの2着だった。今回は逆手前で4コーナーをうまく回れず、3コーナー過ぎで一団となった6頭の中で1頭だけ置かれてしまった。それでもやはり最後の100mくらいは脚を使ってオルトグラフに1馬身差と迫る3着に入った。

 浦和のトーセンガーネットは、さすがに地元のトップジョッキーだけあって田中学騎手がうまく立ち回った。最初の1コーナーの入口では、殺到する馬群に包まれないよう位置取りを下げ、うしろから馬が来ないことを確認してラチ沿いへ。向正面ではデルマルーヴルと同じような勢いで位置取りを上げていった。3、4コーナーでもラチ沿いの経済コースをぴったり回ってきて4着。中央馬相手に持てる力を発揮しての好走だった。

 北海道のリンゾウチャネルは、このメンバー相手にハナを切り、3コーナー過ぎでイッツクールオルトグラフに並びかけられても引くことはなく、直線半ばまで先頭。厳しいペースを経験したことは、今後に生かされるはずだ。

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