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【チャンピオンズC】唯一の連覇を果たしたトランセンド/砂の頂上決戦ヒストリー

  • 2018年12月01日(土) 20時00分
 2000年にジャパンカップダートとして創設されたチャンピオンズCで、連覇(2年連続勝利)を果たしたのは1頭のみ。今回の「チャンピオンズCストリー」はその唯一の馬、2010年・2011年のトランセンドを振り返る。

■持ち味である逃げを貫き連覇を達成

 トランセンドにとって最初のGI挑戦が、2010年の第11回ジャパンカップダートだった。

 この年はエスポワールシチースマートファルコンという当時のダートトップクラスが不在だったものの、ヴァーミリアンキングスエンブレムの兄弟対決が見どころのひとつとされた。前哨戦のみやこSを勝ちここに臨んだトランセンドは1番人気に支持された。

 絶好のスタートを切ったトランセンドは1コーナーで単独先頭に立ち、マイペースの逃げを打つ。直線を向き2番手にいたバーディバーディが並びかけようとするが、再加速してこれを振り切る。さらに、ゴール直前でのグロリアスノアの追撃も押し切り、先頭でゴール。鞍上の藤田伸二騎手は人差し指を天高く突きあげた。

 コースレコードまで0.4秒という好タイムで、GI初挑戦にして頂点に立ったトランセンド。レース後の藤田騎手は「スピードがあるので、この馬の競馬をしてリズムさえ保てれば、少しくらい時計が速くても大丈夫と思っていた。前走と似たようなメンバーで外国馬も不在だったので勝ちたかったし、トランセンドも頑張ってくれた。GIホースになったので、今後は胸を張って勝ち続けたい」と語った。

 藤田騎手の言葉通り、その後のトランセンドはダート路線をリードした。2011年はフェブラリーSで国内GI2連勝。また、ドバイワールドカップでは僅差の2着ながら、ヴィクトワールピサとのワンツーフィニッシュで、東日本大震災直後の日本に感動と勇気を届けた。

 そして、前年の東海Sから8戦連続連対で、2度目のジャパンカップダートに挑む。

 2011年の第12回ジャパンカップダートは、現王者vs前王者の対決が大きな注目を集めた。もちろん現王者はトランセンド、前王者は2年前(09年)のこのレースと前年(10年)のフェブラリーSを制したエスポワールシチーである。

 人気はトランセンドが単勝オッズ2.0倍の1番人気、前走のみやこS圧勝で王座奪還を期待させるエスポワールシチーが2.8倍の2番人気。3番人気のヤマニンキングリーは13.8倍だったから、2頭の頂上決戦がいかに注目されていたかがわかるだろう。

 連覇か返り咲きか、ゲートが開いた。大外枠が不安視されたものの、トランセンドが1コーナーで内へ切れ込んでハナに立ち、エスポワールシチーは直後でトランセンドをぴったりとマークし、4コーナーからじりじりと迫っていく。しかしエスポワールシチーは、直線に入り伸びを欠く。対して、トランセンドの脚色は衰えず、最後はリードを広げて2馬身差でゴール板を駆け抜けた。「前で競馬をしてこそ力を出す馬。行って負けたら仕方ないという気持ちで思い切ったレースをした。そのくらいのデキでもあった」と、藤田騎手は逃げを貫いたレースを振り返った。

 トランセンドの武器は、自らでペースを作れる強さと圧倒的なスピード。それを活かした藤田騎手の迷いのない騎乗が、史上初のジャパンカップダート連覇を呼び込んだのである。

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