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【阪神JF】5馬身差で圧勝した女傑ヒシアマゾン/2歳女王列伝

  • 2018年12月05日(水) 22時05分
 今年、70回を迎える阪神ジュベナイルフィリーズ。牝馬限定の「阪神3歳牝馬ステークス」となったのは1991年のことだが、性齢が限定された3年目に優勝したのは“マル外”だった。今週の「GI列伝・阪神JF」は、1993年のヒシアマゾンからお届けする。

■2歳女王に輝いたマル外の気高き牝馬

 1990年代前半の競馬界は、海外から良血馬が輸入され台頭した時期だった。そのマル外を代表する1頭がアメリカ生まれの牝馬、ヒシアマゾンである。そして、彼女の名を最初に知らしめたのが、阪神3歳牝馬ステークス(現在の阪神ジュベナイルフィリーズ)だった。

 1993年、2歳9月にデビューしたヒシアマゾンは、脚元の不安を考慮しダートを2戦使われた。その後、3戦目の京成杯3歳S(現在の京王杯2歳S)で芝に転向すると、6番人気ながらクビ差の2着。管理していた中野隆良調教師はもともと芝適性を感じていたが、実際に芝を使いその思いを確信に変えたという。

 そして迎えたのが、第45回阪神3歳牝馬Sである。ヒシアマゾンは唯一の関東馬として出走した。

 ここでのヒシアマゾンは単勝オッズ5.2倍の2番人気だった。1番人気(単勝オッズ4.1倍)は南関東の名牝ロジータの初仔で、デビュー2連勝中のシスターソノ、3番人気(同5.9倍)も3戦で2連勝の良血馬タックスヘイブン、5番人気までが単勝オッズ10倍以内という人気が構成されていた。

 スタート直後、ハナを奪いにいったのはシスターソノだったが、その後シアトルフェアーを前に置き2番手を追走。ヒシアマゾンはその外、3番手を進む。4コーナーではシアトルフェアーを真ん中に、内からシスターソノ、外からヒシアマゾンが先頭に並びかけ、直線は3頭の追い比べかと思われた。ところが、シスターソノシアトルフェアーは失速し、それを横目にヒシアマゾンがぐんぐん脚を伸ばす。残り200mで抜け出すと、あとは後続を突き放すのみ。追いかける2着のローブモンタントに5馬身差をつける圧勝だった。当時、クラシックへの出走資格のないマル外のヒシアマゾンが、世代最初の女王の座に就いたのである。コンビ3戦目の中舘英二騎手は「今日はただ乗っかっていただけだった」と、レース後に語っているが、彼にとって初めてのGI勝利でもあった。

 その後のヒシアマゾンは、クイーンCからエリザベス女王杯まで、当時の最多タイ記録となる重賞6連勝を達成する。なかでも、クリスタルCではいまでもファンに語り継がれるほどの異次元の末脚を披露し、エリザベス女王杯では桜花賞馬のオグリローマンオークス馬のチョウカイキャロルを撃破したことで「幻の牝馬三冠」とも称された。また、エリザベス女王杯後の有馬記念では、同世代の三冠馬ナリタブライアンの2着、4歳秋のジャパンカップは日本馬最先着の2着など、存在感をいかんなく発揮した。

 関係者によれば、ヒシアマゾンは常に周囲を気にすることなく堂々としていて、いい意味で態度の大きい馬だったという。また、「調子が悪くても決して弱さを見せなかった。女王様という感じで、たくさんの馬がいるトレセンでもひとめでわかるほど、彼女だけ光り輝いていてオーラがあった」そうだ。その気高さが、同世代のナリタブライアンをはじめ、並みいる牡馬の一流馬を相手に互角にわたりあった“女傑”としての原動力だったといえる。

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