馬体重の増加が必ずしも成長分を示すわけではないが、体重の増減が「発育」を示すひとつの目安になることだけは間違いない。
梅田厩舎の看板馬
レッツゴードンキは現在500キロ前後の馬格を誇っているが、2歳夏に札幌でデビューした時は450キロ。4年超の間に実に50キロも体重が増えたことになる。牝馬でこれだけビルドアップする馬も珍しいが、調教をつけている前原助手は最近、それ以上の成長力を見せる馬に出会ったという。
朝日杯FSに出走する
ファンタジストだ。
まだキャリア3戦ながら、新馬戦→
小倉2歳Sが16キロ増、
小倉2歳S→
京王杯2歳Sが10キロ増での出走。一戦ごとに体が増え続け、無傷の3連勝と結果も出している。それも体が減りやすい長距離の遠征競馬でのものだから余計に驚かされる。
「前走時、ちょっとハミがきつくなっていたので、担当者に聞いたら“前はこんなことなかった”って。それだけアゴが大きくなっていたってことですからね。短期間にこれだけ成長する馬は今まで見たことないですよ」(前原助手)
レッツゴードンキの成長を間近で見てきた人間が言うのだから説得力があるが、成長が進んでいるのは肉体面だけではないようだ。前原助手が騎乗した5日の1週前追い切りでは坂路4ハロン49.5秒の超抜タイムを刻んだ。これだけの時計を出せる馬は、逆に普段の調教で抑えるのが大変なものだが、担当のとぎ屋(とぎは石ヘンに刑)助手によると「普段はゆったり走るので、すごく乗りやすい。この前、ウッドで2頭の間に挟まれた時も、(梅田)先生は“大丈夫だったか”と心配していたけど、平然としていた。オンとオフがハッキリしていて、これだけ調整しやすい馬もそうはいない」
ちなみに、このとぎ屋助手は
武豊の大ファンで、ここ2走、一緒に重賞Vの記念写真に納まった時は「天にも昇る気持ちだった」という。
もし、
武豊が勝っていない残り2つの
JRA・GIのうちのひとつ、
朝日杯FS(もうひとつは昨年GIに昇格した
ホープフルS)を今回勝ってしまうようだと、それこそ“昇天”してしまうかも…。
話は少しそれたが、
グランアレグリア、
アドマイヤマーズなど強敵が揃い、3〜5番手あたりの評価になりそうなのも実は“追い風”。今年、梅田厩舎は先週までに
JRA25勝を挙げているが、なんと1番人気での勝利はゼロという、ある意味ファンの財布にやさしい厩舎。今回の
ファンタジストぐらいの人気が最も得意とする“レンジ”だけに、期待していいかもしれない。
(栗東の坂路野郎・高岡功)
東京スポーツ