前回に続き、無敗をテーマに血統の魅力も詰め込んでお送りする「
朝日杯FS列伝」。最終回は、2015年の
リオンディーズを振り返る。
■2歳GIで再現された良血馬対決
第67回朝日杯フューチュリティステークスは、良血馬対決がみどころのひとつとなっていた。主役は1・2番人気に支持された2頭である。
1番人気は
エアスピネル。
父キングカメハメハ、母は2005年の
秋華賞馬
エアメサイアで、母の
母エアデジャヴーは
オークス2着と
クイーンS勝ち、おじの
エアシェイディは
AJCCを勝ち、
有馬記念3着2回といった活躍馬が多数いる血統だ。
デビュー戦の9月阪神芝1600mは、先行抜け出しで2馬身差の快勝。そして前走の
デイリー杯2歳S(京都芝1600m)は、好位の外を追走し直線であっさりと前を交わしたあと一気にリードを広げ、3馬身半差をつけた。そんな強い2連勝から
朝日杯FSへの臨戦によって、単勝オッズ1.5倍という圧倒的な支持を集める。
2番人気は
リオンディーズ。父は
エアスピネルと同じ
キングカメハメハ、母は2005年の日米
オークス馬
シーザリオで、こちらも半兄に
菊花賞と
ジャパンCを制した
エピファネイアがいる。デビューはわずか1か月前の京都2000mという、朝日FS出走馬で唯一のキャリア1戦馬だった。その新馬戦は、好位から直線で豪快に伸び、最後は流しながらも1馬身半差をつけ、好時計をマークしていた。ただ、道中は行きたがる様子があり、朝日杯の中間の追い切りでも引っかかった面が見られ、初のマイル戦に不安の声もあった。単勝オッズ5.9倍は、未知の期待と若干の不安が混ざった評価だった。
ゲートが開く。押して先手を取ったのは
ウインオスカー、
エアスピネルは中団前方の外めで折り合い、
リオンディーズはスタートがいまひとつだったのもあり、控えて最後方を追走する。前半800mは47.3秒の平均ペースから、
ウインオスカーが先頭のまま徐々に馬群は固まっていく。
直線を向くと、勝負どころから手ごたえ十分で進出を開始していた
エアスピネルが、並ぶ間なく前を捕らえ抜け出す。そして、前2戦のようにそのまま後続との差を広げ始め、
武豊騎手悲願の
朝日杯FS制覇と思われた。そこへ大外から襲い掛かったのが
M.デムーロ騎手の
リオンディーズだった。大きなフットワークでひと追いごとに
エアスピネルに迫ると、ゴール手前で差し切った。
注目の良血馬対決は、3/4馬身差の好勝負で幕を閉じる。
リオンディーズのGI制覇には、デビュー2戦目は史上2頭目、デビュー29日目は史上最速タイという記録が残った。
2005年の
オークス。直線で先に抜け出した
エアメサイアを、ゴール前で差し切ったのは
シーザリオだった。それからちょうど10年、2頭は母となり仔が2歳GIで相まみえることに。親子2代にわたる対決は、再び、
シーザリオと
リオンディーズ親子に軍配が上がったのだった。