「
有馬記念・G1」(23日、中山)
異色の挑戦者か、それとも究極の二刀流ホースか!?前代未聞のチャレンジに挑む障害G1・5勝を誇るハードル界の絶対王者。注目を集める
オジュウチョウサンのルーツを探る連載を前後編でお届けする。今回は後編。
◇ ◇
生産牧場と繁殖牝馬の関係にはさまざまな形態があるが、
オジュウチョウサンの
母シャドウシルエットは長山オーナーが所有。牧場に委託管理するという形だ。
交配相手もオーナーが選ぶ。1番子の
ケイアイチョウサンも、2番子の
オジュウチョウサンも
ステイゴールド産駒で全兄弟だが、初産の兄が体格において小さく収まったのは、母馬の安産能力の一端なのだろう。両者は、デビュー時の体重にして兄444キロに対し、弟490キロ。ひと回り以上違う。
未経産馬は子宮や産道を広げられたことがなく、出産時のリスクを下げるために初子は小さめが望ましい。例えば牛でも、大型酪農種のホルスタインが初子を取るとき、子が雌でも乳牛として使えないことを受け入れて、あえて小型の黒毛和種をつけたりする。
ステイゴールドは、種馬としては小柄な部類。もとより繁殖学的な好条件も満たしていたが、1頭目を小さく2頭目を大きく生んだのは、理にかなった母馬の天賦の才を感じさせる。
平地未勝利での勝ち上がりが間に合わず、障害のチャンピオンホースになってからの平地・最高峰挑戦。回り道はしたが、その血が花開く可能性は十分にあった。「普段の気の荒さはあったが、ブレーキングの段階から操作性が高くて乗りやすかった馬です。僕らが基礎を作ったのが生きたのかな。やる時は、やる子ですよ」とは、坂東牧場の坂東正積社長(43)。その“やる時”は、いよいよ5日後に迫っている。
提供:デイリースポーツ