この年の主役は何と言っても
トウカイテイオー。前走
ジャパンカップで並みいる強豪相手に復活勝利を飾り、ファン投票では17万7926票を集めた。もちろん1番人気もこの馬だ。主戦・岡部幸雄の騎乗停止に伴う乗り替わり、マイナス10キロの馬体重など、不安要素が全くないわけではなかったが、大多数のファンはそれも杞憂に終わると考えていた。
2番人気は
菊花賞で
ミホノブルボンの三冠を阻止した
ライスシャワー、4歳(当時の馬齢表記)ながら
ジャパンカップで5着に食い込んだ外国産馬
ヒシマサルが3番人気。
ナイスネイチャ、
レガシーワールドが単勝オッズ10倍台で続く。
ハナを切ったのは大方の予想通り
メジロパーマー。
スプリンターズSから連闘で挑んできた
ダイタクヘリオスが続き、この2頭が後続を大きく引き離していく。
トウカイテイオーはアオリ気味のスタートから後方待機を選択。この馬をマークするように
ヒシマサルは最後方から競馬を進めていく。2番人気の
ライスシャワーは中団の外目を追走。
2週目の向正面で2頭のリードは70mほどに広がり、3コーナーを過ぎても依然大差のまま。場内に不穏な空気が漂いはじめる。
直線半ばで
ダイタクヘリオスを振り切った
メジロパーマーをめがけ、内から
レガシーワールド、外から
ナイスネイチャが懸命に差を詰める。
レガシーワールドが
メジロパーマーにハナ差まで迫ったところがゴールだった。
メジロパーマーはこれで春秋の
グランプリ連覇を達成。デビュー4年目の若武者・山田泰誠とのコンビは、競馬史に刻まれることとなった。
トウカイテイオーは見せ場なく11着。最強伝説に影を落とす大敗を喫する。しかし、これは1年後のドラマの序章に過ぎないことを、当時のファンはまだ知らない。